豊潤バルビローリのブラームス
十一月も半ば。深まる秋。前線通過で時折り雨もあるが、天気の崩れは短く、総じて好天続く。このところ業務多忙で帰宅も遅く、平日の晩はアンプの灯を入れることも少ない。本ブログ記事も週末にまとめてポンッと書き、日時予約でアップ…なんてこともしばしばだ。そんな中、時間を見つけては繰り返し聴いているのがブラームス。それも第3番の交響曲ばかり。そんな中、今夜はこんな盤を取り出した。

ジョン・バルビローリ指揮ウィーンフィルによるブラームスの交響曲第3番ヘ長調。手元にはLP盤もあるが、今夜は安直にCDを取り出した。手持ちの盤は十数年前に交響曲全集として出た3枚組。当時、廉価盤ボックスセットを盛んにリリースしていたDisky_Classicsの盤。原盤はもちろんEMI。1966~67年録音。
バルビローリ(1899-1970)というと、ロンドン生れで「サー」称号をもつ温厚な英国紳士というイメージかもしれないが、イタリア人の父とフランス人の母をもつラテン系。資質としてはかなりの熱血漢で、演奏表現も情熱的な側面を強く持つように感じる。実際、ウィーンフィルを降ったこのブラームスも、遅めのテンポを基本とし、濃厚な表現ながら落ち着いた曲の運びでブラームスに相応しいとして評価が高い演奏ではあるが、時々その既定路線のボーダーラインを逸脱しそうな情熱的なフレーズも繰り出してきて、中々興味深い。
交響曲第3番はヘ長調の調性ながら、すべての楽章がしずかに終わることや、渋い和声感など、第4番以上に枯れた味わいが表現される曲だ。しかしバルビローリの手になるこの演奏は、ウィーンフィルの音色もあって、枯淡には遠く、またこの曲が時々称される「ブラームスの英雄」のイメージもなく、むしろ深い豊かさとその底にある情熱を感じる。「安定のベーム」に対して「豊潤なバルビローリ」とでも名付けたくなく、唯一無二の演奏だ。
この盤のスコア付き音源。全楽章。この曲も聴きどころ、私見はこうだ…
第1楽章:終盤の練習番号Lの4小節前(8分10秒)からの数小節(その前のホルンの強奏も!)。冒頭の主題音形が凝った和声で提示される。
第2楽章:終盤の練習伴奏F(17分5秒)からの8小節。
第4楽章:練習番号I(29分44秒)から緊張感ある転調の連続。そのあとに続く練習番号L(30分58秒)のからVcによる三連符メロディー(これより前の練習番号Cにも同フレーズ)。第1楽章の主題が静かに回顧されてエンディングも最高。
バルビローリの熱血漢としての側面を垣間見る練習光景。ブルックナー第7交響曲のスケルツォで手兵ハレ管を締め上げる!
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