明朗ワルターのブラームス
穏やかな秋の好日に恵まれた週末。出たり入ったりで慌ただしく過ぎた。ひと息ついてアンプの灯を入れる。このところ聴くのはもっぱらブラームスの第3交響曲。今日はこの盤を取り出した。

ブルーノ・ワルター(1876-1962)とコロンビア交響楽団による録音。手持ちの盤は70年代後半に出ていた「ブルーノ・ワルター3000」と称するシリーズもの。2枚組2セットでブラームスの交響曲全4曲が収められている。例によって十数年前、大阪出張を繰り返していたときに、投宿先近くの阪急梅田東通りの中古レコード店で買い求めた。
久々に取り出した40年前のLP盤に針を降ろすと、予想以上にフレッシュな音が飛び出してきた。フルトヴェングラーやトスカニーニらと同世代で、20世紀前半の巨匠時代の一翼を担ったワルター。長命であったことから、晩年にステレオ録音によって多くの録音を残すことが出来たのは本当に幸いであった。ブラームスの交響曲もそうした録音の一つで、1959年から1961年に録音されている。ニューヨークフィル時代(モノラル録音)の快速で熱気あふれるブラームスも名演だが、彼のために用意されたコロンビア響との晩年のセッション録音も捨てがたい。
ブラームスの第3番も冒頭から年齢を感じさせない活気あふれる展開。テンポもやや速めといっていい。しかるべきところで加速し、しかるべきところでアクセントが入る。音色も明るく、フレーズの起伏も明快だ。コロンビア響はやや小型編成の急ごしらえで、団としてのアンサンブルには難があったといわれるが、この曲に関してはそうしたことがネガティブな要素にはなっていない。むしろ小編成ゆえのキビキビとした運動性能と、各パートの明解な分離が印象的だ。第3番では各パートのリズムの交錯や重層的な和声などがしばしば現れるが、ワルターのコントロールもあって、そうした要素が明快かつクリアに示され、この曲を明朗で前向きなイメージに仕立て上げている。
この盤の音源。全4楽章。第1楽章終盤、8分3秒からのホルンの強奏を受け第1主題の回顧するフレーズではオケをドライブして加速するあたりでは、さすがに編成の小ささが露呈する。もう少しオケの重層的な響きが欲しくなる。第2楽章16分46秒過ぎからの聴きどころはさすがのワルター流。第3楽章共々胸に迫る。終楽章も晩年であることを感じさせない若々しい表現だ。
小澤征爾&サイトウキネンオーケストラ@1991 録音セッションのドキュメンタリーをはさんで、8分36秒から第3番の演奏。
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