キャスリン・バトル&クリストファー・パークニング



年末年始の休暇入り。散らかった部屋の整理をしつつ音盤棚のほこりを払い…とのんびり過ごす。レコードを出し入れしていたら、こんな盤を見つけて取り出した。


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80年代半ばに人気を博したソプラノ歌手キャスリン・バトル(1948-)がギターのクリストファー・パークニング(1947-)と協演した盤。パークニングの名は70年代半ばに見知っていたが、その後日本ではあまり話題に上らず10年近くがたち、この盤で久々に彼の姿を目にした記憶がある。この盤ではリリカルなバトルの歌をフィーチャーして、ダウランドから近代スペイン、ブラジル物、黒人霊歌まだ多彩な曲が取り上げられている。中ではグラナドス「ゴヤのマハ」やファリャなどのスペイン物、そしてヴィラ・ロボスのブラジル風バッハ第5番のアリアやエンリーケ、オヴァーレ、バローゾといったブラジル物がいい。楚々として、軽みのある歌いっぷりだ。ダウランドはさすがに当世の古楽歌唱などを聴いたあとでは、時代錯誤とは言わないまでも、いささか厚化粧に感じてしまう。
パークニングは日本で名前が知られ始めた頃、ギターよりもその甘いマスクで人気が出たものだ。元祖イケメンギタリストというところだろうか。60年代後半にセゴビアの肩入れもあってデビューし、アメリカでは大そうな人気を得た。クラシックギターの保守本流・正統派奏者としての評価は様々のようだが、この盤ではあくまでバトルの伴奏者としての役割に徹していて悪くない。


この盤のアルバムタイトルにもなっているグノーのアヴェ・マリア。1987年グラミー賞受賞のステージとコメントがある。取り上げた盤の時期のもの。


この盤の音源から


パークニングのいま。2016年のインタヴュー。全4話。
彼のHPによると現在も多方面で活動中の様子だ。



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L・バークリー 「ソナティナ」



今年最後の週末金曜日。そして仕事納め。職場事務所フロアでの簡単な納会もパスして帰宅。それにしても年の瀬感皆無。若い世代はゆく年くる年、それなりに思い至すのだろうなあ…と、そんなことを考えながら、変わらぬ夜ごとの音盤ルーティン。今夜はこんな盤を取り出した。


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数年前に手に入れたブリームのオリジナルジャケットによるボックス選集。その1枚目<The Art of Jurian Bream>を取り出した。原盤はRCAリビングステレオ盤。ブリームの米国デヴュー盤にあたるそうだ。収録曲は以下の通り。

・フレスコバルディ:アリアと変奏
・アルベニス:ソナタ ニ長調
・D.スカルラッティ:ソナタ ホ短調K.11
・D.スカルラッティ:ソナタ ホ短調K.87
・チマローザ:ソナタ 嬰ハ短調
・チマローザ:ソナタ イ長調
・レノックス・バークリー:ソナチネop.52-1
・ロドリーゴ:小麦畑で
・ラヴェル:亡き王女へのパヴァーヌ
・ルーセル:セゴヴィア Op.29

今夜のお目当ては、レノックス・バークリー(英1903~1989)のギター作品「ソナティナ」作品52。この曲を初めて聴いたのは学生時代の70年代半ば。出だしのフレーズが印象的で楽譜も手に入れた。その出だしだけは弾けるようになったが、そこから先へは進めず。当然ながらそのまま現在に至っている。久々に聴くブリームによる演奏。ブリームとしては初期の録音に属する。60年代になるかならないかという時代を考慮すると、すこぶるモダンでいい演奏だと思う。セゴビア、イエペス、何人かのスペイン系奏者が主流だった時代にあって、ブリームの演奏は新鮮で、ギターの美点を生かしながらも音楽としての普遍性を訴えていて、その後現在まで続くモダンクラシックギターにおける一つの潮流の原点といっていいだろう。

バークリーのソナティナはその名の通り、そう大きくはないが三楽章形式の古典的なフォーマットに近代的な和声感性を閉じ込めた佳曲。特に第1楽章の闊達な曲想、第2楽章Lentの静かな抒情が美しい。今も人気の曲のようで、しばしばコンサートでも取り上げられ、少し前にNAXOSからリリースされた朴葵姫(パク・キュヒ)のアルバムにも入っている。久々に楽譜を取り出して弾いてみようか。


この盤の音源。バークリーのソナティナ第1楽章。


タル・フルヴィッツという奏者。寡聞にして不案内。ナクソスからアルバムを出しているようだ。レコーディングセッションでの演奏とのこと。



楽譜付き音源。演奏はローラ・スノーデンによるもの。



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ドヴォルザーク「チェコ組曲」



気付けば世間はクリスマス。年追うごとに季節感乏しく、きょうもいつもの通りの一日。程々に仕事をし、いつもの時刻に帰宅した。ひと息ついて何気なく音盤棚は眺めていたら、この盤と目が合って取り出した。


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アンタル・ドラティ(1906-1988)指揮デトロイト交響楽団のコンビによるドヴォルザークの管弦楽曲集。1978年から1983年にかけての録音。収録曲は以下の通り。

・チェコ組曲 ニ長調 作品39
・プラハ・ワルツ
・弦楽のための夜想曲 ロ長調 作品40
・スラヴ狂詩曲 第3番 変イ長調 作品45
・アメリカ組曲 イ長調 作品98B

ドヴォルザークの管弦楽曲と言えば、スラヴ舞曲やいくつかの交響詩、弦楽のためのセレナーデなどが有名だ。この盤に収録されているチェコ組曲やアメリカ組曲は耳にすることは多くない。ぼくもこの盤を手に入れるまではまともに聴いたことがなかった。のだめカンタービレ(…もう十年以上前のことかぁ…)がヒットした際、劇中このチェコ組曲の中の第2曲ポルカが使われて有名になった経緯がある。そのポルカに限らず、チェコ組曲を構成する五つの曲ははいずれも親しみやすいメロディーと郷愁にあふれた曲想とを持ち、美しい。プラハ・ワルツは堂々とした立派なウィンナワルツだし、弦楽のための夜想曲も限りなく美しい。いずれも、もっと聴かれてもいいように思うがどうだろう。
オーケストラビルダーとして名高い職人指揮者:ドラティはいくつかのオーケストラの再興に尽力したが、デトロイト交響楽団もその一つ。メリハリのあるデッカの優秀録音も相まって、ロマンと郷愁に満ちたドヴォルザークを堪能できる好アルバムだ。


この盤の音源。チェコ組曲:ポルカ


同 プラハ・ワルツ



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R・コルサコフ「スペイン奇想曲」



さて今年も残すところ十日余り。仕事も今週いっぱいで終わりだ。一年の締めくくり…なんて述懐する年齢でもなくなったなあ…などと、ぶつくさ言いながら音盤棚をサーチ。ちょっと景気づけにこんな盤を取り出した。


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リムスキー・コルサコフ(1844-1908)の「スペイン奇想曲」。手元にはいくつかの盤があるが、今夜は数年前に入手したジョージ・セル&クリーヴランド管による盤を取り出した。収録曲は以下の通り。メインは<展覧会の絵>だが、他にロシア物の管弦楽曲が4曲入っている。1958年録音。

 ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」
 ムソルグスキー:歌劇「ホヴァンシチナ」より前奏曲(モスクワ河の夜明け)
 ボロディン:歌劇「イーゴリ公」より ダッタン人の踊り
 リムスキー・コルサコフ:「スペイン奇想曲」
 チャイコフスキー:「イタリア奇想曲」

こうしたロシア物の醍醐味の一つは、演奏するオーケストラの妙技や合奏能力を聴くことだろう。中でも「スペイン奇想曲」はその要素が強い。曲は以下の5つの部分からなる。
 ・アルボラーダ
 ・変奏曲
 ・アルボラーダ
 ・シェーナとジプシーの歌
 ・ファンダンゴ
いずれもスペイン・アストゥリアス地方の民謡や舞曲をモチーフにしている。軍人家系に生まれ、自身も海軍に在籍したリムスキー・コルサコフは異国趣味が強く、海軍時代に寄港したスペインでの印象も強く心に残ったことが、この曲の背景にあるそうだ。

セル&クリーヴランド管の精緻でクリアな響き。アンセルメ盤などとはまったく雰囲気の異なる演奏。音の色彩感よりも、音の構成・構造あるいは設計図を提示するかのようだ。響きはいつも通り透明で、スコアの構成が透けて見えそうだし、この曲の聴きどころであるヴァイオリンや管楽器群のソロももちろん完璧。正確無比なオケ共々、雰囲気だの色彩感だのという前に、思わず居ずまいを正して聴きたくなる。録音もオリジナルのEPIC時代に高音質盤としてリリースされたこともあって解像度が高い。エネルギーバランスはやや腰高あるいは摩天楼型だが、コントラバス低弦の低い帯域までダブつかずによくのびていて、この曲の華やかな響きを堪能できる。 スパニッシュテイストあふれる明るくカラフルなこの曲を聴いて、さて、残る一週間を乗り切りましょうか。


古澤巌と洗足学園大学オケ(弦楽編成)による演奏。


ホルヘ・カバレロによるギターソロ版。彼は山下和仁以来途絶えていたギターソロによる<展覧会の絵>や<新世界>の演奏もこなす。


取り上げた盤。セル&クリーヴランド管による演奏。



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J・K・メルツ「タランテラ」



週末の晩。ひと息ついて…先日のメルツ小品集の記事で思い出し、この曲をちょっとさらってみた。


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ヨーゼフ(ヨハン)・ガスパール・メルツ(1806-1856)作曲のタランテラ。メルツの作品は19世紀の古典ギター黄金期にあって、そのロマンティックな作風から人気が高い。ソルやジュリアーニより少しあとの世代で、時代的には初期ロマン派。ソナタなどの古典様式の曲ではなく、曲にもタイトルが付くようなロマンティックで幻想的な曲が多い。ギター界のメンデルスゾーンなどといわれることもある。<タランテラ>は彼の代表作の一つである<吟遊詩人の調べ>作品13に入っている。手元には京本輔矩編の楽譜もあるが、時代の雰囲気も味わいたいので、例によってBoijeコレクションの楽譜を広げた。

楽曲としてのタランテラはよく知られている通り、毒蜘蛛タランテラに噛まれると、その毒で踊り狂い死に至るとの言い伝えから8分の3または8分の6拍子の急速調をとる。ブルクミュラーの練習曲に始まり、メンデルスゾーン、ショパン、シューベルト他、多くのロマン派作曲家がタランテラを書いている。メルツのタランテラもセオリー通りに出来ていて、イ短調の見かけは比較的やさしい譜づらながら、中々演奏効果が上がる曲だ。弾いていても気分がいい。中級者レベルであれば初見で通せると思うが、タランテラらしい狂乱にはある程度のスピード感とディナーミクの段取りが必要だ。

快演! 19世紀ギター(レニャーニモデル)のレプリカを使用。ネックヒール部に弦高調整用のネジが見える(45秒過ぎから)。


マウロ・ジュリアーニ(1781-1829)のタランテラ。名手スタロビンに演奏。楽器はハウザー・ヴィエナモデル


ギター曲のタランテラでもっとも有名なのはこの曲かもしれない。カステルヌウォーボ・テデスコ(1895-1968)のタランテラ。学生時代に少々かじったなあ…


タランテラは昔も今もイタリアの国民的ダンス。さあ、みんな踊ろう!



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上野~丸の内



忙中閑有り。上野で開かれているゴッホ展に足を運んだ。


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絵画については知識・見識・感性とも三拍子揃って無い無いづくしではあるが、観ることは自体はもちろん嫌いではない。フェルメール展に行ったのも一年前のちょうど今頃だった。主催者、各種メディア一体となってのこの手の展覧会は、根っからの美術ファンにとってはあまりに商業的過ぎるイベントだろうが、ぼくのような門外漢はちょうどいい塩梅。主催者の格好のターゲットに違いない。


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平日の午後3時過ぎということもあって、チケット売り場・入場口ともに並ぶことなくスムースの入館。音声ガイドのセットを首に下げながら、そういえば去年のフェルメール展の音声ナビゲーターは石原さとみだったなあと思い起こしながらゆっくり回覧。ハーグ時代の灰色の世界から、印象派の影響を受けた原色の明るい色づかい、そして表出する晩年のメンタル…ぼくのような素人にもよく分かる解説と展示。音声ナビゲーションのバックで流れるフランス物BGMの選曲もよく、観終わったあとのグッズ販売コーナーでは思わずBGMを収めたCDを買い求めた。ドビュッシー、ラヴェル、プーランク、サティ他、お馴染みの曲が並ぶ。


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会場を出るとすでに陽も落ちている。帰途には東京駅から新幹線に乗ることになるが、少々時間もあったので、折からライトアップ中の丸の内仲通を散策。ビル群の中をそぞろ歩きながら都会の空気を味わった。 今年も残すところ二週間余。少々忙しかった仕事もピークを超えそうで安堵の日々。いい息抜きの東京散策だった。


買い求めたCDから。プーランク「愛の小径」ヴァイオリンソロによる。


同曲のギター伴奏版 カリス店長:高矢さん(G)ナイス!



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ハインツ・レグナーのワーグナー管弦楽曲集



先日のクナッパーツブッシで思い出し、今夜はこんな盤を取り出した。


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ハインツ・レーグナー(1929-2001)とベルリン放送交響楽団によるワグナー管弦楽曲集。1977-78年録音。手持ちの盤は、当時徳間音工がドイツ・シャルプラッテン・レーベル発売10周年としてミドルプライスでリリースした際に買い求めたもの。収録曲は以下の通り。「トリスタンとイゾルデ」はよく演奏される「前奏曲と愛の死」ではなく、前奏曲のみを終盤独自のアレンジを施して収められている。

 Side_A
  ジークフリート牧歌
 Side_B
  「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲
  「ラインの黄金」前奏曲
  「トリスタンとイゾルデ」第1幕前奏曲

ハインツ・レーグナーは70年代半ば、宇野功芳氏らが大いに賞賛したことから、にわかに脚光を浴びた。ぼくがこの盤を手に入れたのも、当時の「宇野節」に感化されてのことだった。宇野氏が「クナッパーツブッシュの再来」と称したこのワグナーアルバム。久々に聴いたのだが、確かにその響きは素晴らしい。

針を降ろしてまず特徴的なのは、当時まだ東西分離時代の東独のオケらしい渋めの響きだ。弦楽群はよくブレンドし、管楽群もきらびやかさと無縁の落ち着いた音調。ドイツ・シャルプラッテンの録音がそれらをよくとらえていて、いかにもドイツ、いかにもワグナー…といったステレオタイプの印象がそのまま音となって出てくる。録音場所はカラヤン時代のベルリンフィルでお馴染みのベルリン・イエスキリスト教会。ドイツグラモフォンとは録音ポリシーは異なるが、低重心のピラミッド型音響という点では共通している。よくブレンドした響きながら各パートの分離はよく、コントラバスの基音もその音程が十分に聴き取れて素晴らしい。 レーグナーはやや遅めのテンポで、ワグナーの音響を確かめるかのように歩を進める。旋律線はレガートながら、薄っぺらな印象は皆無。各パートが重層的に響き合い、ワグナー管弦楽曲の醍醐味を味わえる。

一連の録音で人気を博し、80年代には読売日響の常任指揮者を務めたこともあったレーグナーだが、一方で演奏によってまちまちな評価も出始め、その後は一時の隆盛からは遠い存在になっていった。


この盤の音源で「マイスタージンガー第一幕前奏曲」。この曲で重要な低弦群の旋律的動きがよく聴き取れる。


宇野功芳氏が絶賛し「レグナー・ブーム」のきっかけとなった同「ジークフリート牧歌」



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

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