ブラームス弦楽四重奏曲第2番イ短調
令和2年にちなんだ2番シリーズの音盤ルーティン。今夜はこんな盤を取り出した。

クリーヴランド弦楽四重奏団によるブラームスの弦楽四重奏曲全曲2枚組LP盤。その中から第2番イ短調に針を下ろす。クリーヴランド弦楽四重奏団は1969年に結成され、26年間の活動ののち1995年に解散してその歴史を閉じた。このブラームスは彼らのデヴュー盤にあたる。正確な録音データが記されていないが、おそらく結成当時の70年前後の録音を思われる。
ブラームスは優れた室内楽を残し、そのいずれもが懐深いロマンティシズムに満ちている。特に弦楽四重奏から拡張された五重奏や六重奏、そしてピアノ入りの四重奏、五重奏と、いずれも名曲揃いだ。そんな中にあって室内楽の基本ともでいうべき弦楽四重奏曲は3曲が残されているのだが、他の拡大された編成の曲に比べるとマイナーな感は否めない。そもそも弦四本という、必要十分とも必要最小限とも言える構成ゆえ、聴く側のイマジネーションで音楽を膨らませる要素が大きい。加えて、古典派の四重奏曲のように明確で分かりやすいメロディーラインと、それを引き立てる起承転結のはっきりしたフレージングや和声感(カデンツ)に比べ、ブラームスのそれはすべてがずっとデリケートかつ控えめだ。曲の方から次々と美味しい料理を並べてくれるような音楽ではない。ひと言でいえばブラームスの室内楽は渋く、取り分け弦楽四重奏は激渋という印象をもつ。
そんな中、第2番イ短調は穏やかな曲想と渋い中にも親しみを感じさせるメロディーに満ちている。第1楽章 Allegro non troppo、第2楽章 Andante moderato、第3楽章 Quasi Menuetto, moderato、第4楽章 Finale. Allegro non assaiの堂々とした構成で、このクリーヴランドSQの演奏も30分を要している。どの楽章も、ぼくらがブラームスと聞いてイメージする淡くも深い抒情性を聴かせてくれる。華やかな正月気分のクールダウンにはちょうどいいかもしれない。
この盤の音源。第1楽章。
パシフィック・カルテット・ウィーンによる演奏。日本・台湾・スイスの出身者からなる。
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