ハチャトゥリアン ヴァイオリン協奏曲ニ短調



先日、群馬交響楽団の定期に行った際、例によって、プログラムには多くのパンフレットが挟み込まれていた。ざっと広げるとこんな感じだ。


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この2ヶ月ほどの間に当地で催されるクラシック系のコンサート案内ということになるが、あらためてその多さに驚いた。バロックから近代、アンサンブルから合唱、ピアソラと、中身も多彩だ。ちょっと目についたのは若手ソリストが登場する演奏会。3月の群響定期では2018年日本音楽コンクール第1位の荒井里桜によるシベリウスのヴァイオリン協奏曲。さらに定期ではないが河岸段丘で有名な沼田市で開かれるやはり群響の演奏会では、中学生時代に日本音楽コンクールを制覇した山根一仁によるハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲。また隣り町渋川市でも来月、昨年2019年のチャイコフスキー国際コンクール第2位の藤田真央が来演しラフマニノフを。さらには成田達輝と萩原麻未のデュオ・リサイタル。小林研一郎と小林亜矢乃の親子共演によるグリーク。ベテラン小山実稚恵のチャイコフスキー…と、中々の充実ぶり。そしてこれは地方ゆえの特権かもしれないが、いずれもがそれぞれの町の文化事業として行われることが多く、チケット代が安い。そんなわけで、義務としての納税を果たしている県民として、その回収にも努めようと、いくつかのコンサートに行くつもりだ。中でもこの機会にぜひ聴きたいのがハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲。この予習を兼ねて、久々にこの盤を取り出した。


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アラム・ハチャトゥリアン(1902-1978)のヴァイオリン協奏曲ニ短調。20世紀最高のヴァイオリン協奏曲とも言われる。ランパルが取り上げて以来、フルート協奏曲としてもよく演奏される。絵画のジャケットも印象的なこの盤。1958年の第1回チャイコフスキーコンクールで優勝者となったワレリー・クリモフ(1931-)がソロを弾き、エフゲニー・スヴェトラーノフ(1928-2002)指揮のソビエト国立交響楽団が伴奏を付けている。まだ冷戦時代の1980年の録音。原盤メロディア。

ハチャトゥリアンはロシアあるいはソビエトというよりは、やはりアルメニアあるいはコーカサス地方の作曲家と呼んだ方がいい。有名なバレエ組曲「ガイーヌ」や近年その中のワルツが人気の「仮面舞踏会」など、いずれも民族色豊かな音楽だ。ヴァイオリン協奏曲もその路線といってよく全編民族的な旋律と活力に満ちている。
第1楽章は出だしからエネルギーあふれるオケとソロの第1主題で始まり、美しい第2主題が続く。第2楽章はどこか不安げなオーケストラ導入部の続いて、ソロヴァイオリンが深い哀愁をたたえた旋律を奏でる。第3楽章も激しい土俗的なエネルギーで曲は進むが、第1楽章の抒情的な第2主題が挟まれ、この曲の激しさと美しさを合わせもつ性格をよく現している。

ロシアというとチャイコフスキーやラフマニノフをまず思い浮かべるが、ロシアといっても、ひとくくりには出来ない。ソ連邦崩壊後、コーカサス周辺国が注目されるようになったが音楽もしかり。ハチャトゥリアンのこの曲などはもっと聴かれてもいいように思う。


Eva Sulic (エヴァ・スリック)というスロベニアのヴァイオリニストによる全楽章。


抒情的な第2楽章(抜粋)



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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