ストラヴィンスキー バレエ組曲「火の鳥」



先日の記事に書いた「春の祭典」で思い出し、今夜はこんな盤を取り出した。


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ストラヴィンスキー作曲バレエ組曲「火の鳥」。小澤征爾指揮ボストン交響楽団による演奏。同じくバレエ音楽の「ペトルーシュカ」がカップリングされている。小澤征爾が同団のシェフになる前、1969年に同団と初めて入れた録音だ。ペトルーシュカでは今は指揮者として大家然としてきたマイケル・ティルソン・トーマスがピアノを受け持っている。

手持ちの盤は80年代後半に廉価盤として発売されたときのもの。オリジナルとはジャケットデザインが異なる。ライナーノーツによると、この録音が行われた1969年夏、ボストン交響楽団主催のタングルウッド音楽祭で同団と「火の鳥」と「ペトルーシュカ」を演奏して絶賛を博し、その直後にこの録音が行われた。翌年1970年には同音楽祭の芸術監督に抜擢され、さらに1973年からボストン交響楽団の音楽監督となった。この盤は当時34歳の小澤がその後のキャリアをスタートさせるきっかけとなった録音だ。後年、彼はパリ管弦楽団や同じボストン交響楽団とこれらの曲を再録している。

ストラヴィンスキーというと大規模な管弦楽、オーディオデモ的大音響をイメージするが、例えばこの盤の「火の鳥」で使われている2管編成による1919年版で聴くと、古典的なオーケストラ曲としての曲の骨格やモティーフの綾がよく分かる。小澤とボストン響の演奏も大声を張り上げるようなものではなく、近代の古典ともいうべきこの曲の面白さが堪能できる。ボストン響はヨーロッパのオケかと思わせるようなややくすんだ音色で、オーボエやバスーンのソロも落ち着いた響きを繰り出している。半世紀前とはいえ、時すでにアナログ盤の音質は録音・盤質共に成熟期で、冒頭の不気味なコントラバスの基音、やや遠めに定位する管楽器群など、録音もすこぶる優秀だ。ぼくは小澤征爾の熱心なファンではないので軽々にはいえないが、当時34歳のまだ若かりし小澤のあまりに落ち着いた音楽の運びにいささか驚いた演奏でもある。


1993年のヴァルトビューネでベルリンフィルを振った「火の鳥」終曲


小澤が1965年から1968年まで首席指揮者を務めたトロント交響楽団による演奏。全5部。指揮は現音楽監督ピーター・ウンジャン。


ボストン就任から20年経った1993年のドキュメンタリー



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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