F・ソル 幻想曲ホ長調 Op.54-bis



次第に暖かくなり、ギターの練習もそろそろ冬眠から脱しようかと、きょうはこんな楽譜を広げてさらってみた。


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フェルナンド・ソル(1778-1839)作曲のギターデュオの名曲:幻想曲ホ長調Op.54-bis。われわれギター愛好家の中では「ソル54のビス」で通じる。
今更ソルについて語る必要も資格もないのだが、19世紀古典ギター全盛期にあって、彼の曲は優れて音楽性豊かだ。彼の曲を弾いていると簡単なエチュードであっても弦楽四重奏や室内管弦楽にその曲がアレンジされ演奏されている様子や響きがイメージできる。それだけ和声感が豊かで古典的様式美を備えている。この作品54bisもそんなソルの音楽性が遺憾なく発揮された名曲だ。もちろん曲想を生かした速度と抑揚で弾こうとすると難易度も高い。

曲は大きく3つの部分から出来ている。最初のAndanteは続くAndantinoへの序奏といった扱いだが、Maestoso風の出だしとそれに呼応する美しいメロディがとてもキャッチーだ。Andantinoはソル得意の変奏曲形式で、途中ホ短調のロマンティックなメロディーが印象的。技巧を凝らした三連符を多用した変奏から終曲のAllegro dans le genre Espagnolへアタッカで進む。表題通りのスペイン風のリズム、豊かな和声感、アポジアトゥーラを駆使した美しいメロディーなど、ソルの傑作といわれるに相応しい名曲だ。


この曲においてYOUTUBEで名を馳せたといってもいい、クラウディオ・マッカリとパオロ・プリエーゼという二人組みの比較的新しい音源。


Duo Odeliaという女性二人組による演奏。上に貼った二人に勝るとも劣らないパフォーマンス。こちらもシュタウファーとラコートのレプリカ&立奏で19世紀当時のスタイル。やや録音レベルが低いのが残念。


ぼくら世代にギターデュオの存在を決定付けたのはこの二人だった。モダンギターによるスタンダード。



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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