先週から在宅勤務と通常出勤のコンビネーション。時間に関して言えば、在宅勤務では通勤に要する時間分は確実に減る。せっかく出来た時間を有効に使おうと思い立ち、日頃時間が回せないギターの練習に注力することに。 ぼくの練習ルーチンは…メカニックなスケール・アルペジオでウォーミングアップ→やさしめの練習曲→当面の目標曲のおさらい…という感じ。ひと通りこのルーチンをこなすとなると2時間くらいは欲しいところなので、中々通常の平日には出来ないのだが、今は週に2、3日は可能な状況だ。 先日「やさしめの練習曲」として開いたフェルナンド・ソルの練習曲集。この全音楽譜社版の曲集 では、相当数あるソルの練習曲から主に初級~中級向けのものが32曲選ばれている。もう半世紀近く前に手に入れたものだが、程よいボリュームと適切な選曲もあって需要があるのだろう、現在も版を重ねている。日頃の練習ではこの中からその日の気分で数曲を何度か繰り返して弾く。ソルの練習曲はメカニックな側面からは「千本ノック」的な効果は少ないが、機能和声のイロハを学び、古典の味わいを楽しむにはもっともよい教材だろう。 自分の演奏の確認のため、きょうは譜面台に楽譜と共にスマートフォンを置いて録音を試みた。以前スマートフォンで録音したときは、まったく情けない音でしか録れなかったが、きょうはギターとの距離が50センチほど近かったせいか、比較的よく音を拾ってくれた。モノラル録音だが、練習の確認用には十分かなあと感じた次第。せっかくなので、いくつか弾いた中から2曲を以下の貼っておく。 楽器:ハウザー・ウィーンモデル 1921年作 弦:アクイーラ社 アンブラ800 ピッチ:A≒415Hz F・ソル 練習曲 作品35-14 付点音符による躍動感を出すことを意識。 楽譜は以下のNo.14http://boijefiles.musikverket.se/Boije_0478.pdf VIDEO F・ソル 練習曲 作品31-11 レガートにメロディーをつなげようと弾いたつもりだが、録音を聴いてみると…ダメですね。 楽譜は以下のNo.11http://boijefiles.musikverket.se/Boije_0482.pdf VIDEO ■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■ ■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■にほんブログ村
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少し前の物憂い休日の朝。 曇り空の中、何を聴こうかと選らんだこの曲が印象に残ったの記しておこう。 モーツァルトが18歳のときに作ったファゴットのための協奏曲変ロ長調K191。ギュンター・ピースク(1921-2018)のファゴット、カラヤン指揮ベルリンフィルによる演奏。1971年録音。手持ちの盤はモーツァルトの他の管楽協奏曲と一緒に収録された輸入盤2枚組CD。随分前に、今はもう閉店してしまった隣り町のタワーレコードのワゴンセールで買い求めた。このファゴット協奏曲の他、クラリネット協奏曲、オーボエ協奏曲、フルートとハープのための協奏曲、フルート協奏曲が収録されている。ソロはジェイムス・ゴールウェイ(fl)、カール・ライスター(cl)、ローター・コッホ(ob)ら、いずれも当時のベルリンフィルトップが務める。 ファゴット協奏曲は他のモーツァルトの協奏曲に比べると演奏機会も少なくややマイナーな感があるだろうか。ぼく自身はこの曲を高校生の頃から気に入っていて、少なくても他の管楽協奏曲に勝るとも劣らないと思っていた。このコンビの演奏も当時のFMで知り、耳にした記憶がある。ギュンター・ピースクはその名前の響きも印象的で、このファゴット協奏曲とセットで記憶に刷り込まれている。 ファゴットが主役の曲というは中々思いつかないし、オケの中でも脇役のことが多い。しかし、こうしてモーツァルトの手になる名旋律で聴くと、その柔らかで深みの音色と、ときにコミカルな表情が中々魅力的だ。70年代初頭になされたカラヤンとベルリンフィルの一連のEMI録音は、同時代の独グラモフォンのそれとはかなり違っていて、明るい音色とより明快な細部の表出を聴くことができる。同時に、流麗でレガート、シームレスなカラヤン流の音楽表現も一層際立っている。それにしてもこの曲の第1、第2楽章の美しさと楽しさは何度聴いても心おどる。第3楽章が優雅なロンド風メヌエットというところもファゴットの特性にはピタリ。曇り空の休日の朝、気分を穏やかに上げるのにピッタリな名曲だ。 この盤の音源。全3楽章。VIDEO 洗足学園音大のメンバーによる演奏。若者たちの清々とした演奏。しかし指揮者の右手を見ると指揮棒ではなく、どうやらボールペンかシャープペン。これはちょっといただけない。VIDEO ファゴットの魅力とは…VIDEO ■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■ ■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■にほんブログ村
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週明け月曜日。先週の緊急事態宣言を受け、ぼくの職場でも従来の希望制から全員が対象の在宅と出勤のシフト勤務となった。きょうは五日ぶりの出勤日。以前と様変わりの閑散とした通勤道中。職場フロアもシフト勤務で人数半減。東日本大震災のあとの計画停電のときに経験した閑散としたオフィスを思い出した。職場でないと処理できない仕事も多く、いつも以上に業務に精励。8時過ぎに帰宅した。明日はまた在宅勤務という晩。緊張高まる世情を思いつつも、いつもの音盤ルーチン。今夜はこんな盤を取り出した。エルネスト・アンセルメとスイスロマンド管弦楽団(OSR)によるフランス音楽集 の4枚目を取り出した。収録曲は以下の通り。 ・ドビュッシー:バレエ音楽「おもちゃ箱」(カプレ編) ・ドビュッシー:小組曲(ビュッセル編) ・ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ ・ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ ・ラヴェル:道化師の朝の歌 このディスクの聴きものはラヴェルだろうが、その前に今夜はドビュッシー(1862-1918)の小組曲を選んでプレイボタンを押した。小組曲は、小舟にてEn Bateau/行列Cortège/メヌエットMenuet/バレエBalletの4つの曲からなり、演奏時間も15分とかからない文字通りの小組曲だ。元々はピアノ四手連弾用に書かれた、ドビュッシーがまだ二十代の頃の作品。その後、ドビュッシーの友人だったアンリ・ビュッセルが管弦楽用に編曲した。 この曲にはちょっと思い出がある。まだ二十歳になったばかりの学生時代。所属していたマンドリンアンサンブルでこの曲を演奏した。高校時代から同窓だった一年上の旧友Y氏が編曲した。当時70年代半ばは全国津々浦々の大学・短大にマンドリンアンサンブルのサークルがあっていずれも大所帯の隆盛期だった。ぼくのいた大学でも少なくても70名以上いたと記憶している。20世紀初頭のイタリア・マンドリンオリジナル曲を中心に、クラシックの編曲物や委嘱作品を含む邦人現代作品などを取り上げ、そしてポピュラー物は一切やらずと、いま振り返っても青臭いほどに志は高かった。この小組曲は(そして六つの古代エピグラフも)、そんな取り組みの中から旧友Y氏のフランス好みもあって演奏曲目となった。 小組曲はドビュッシー作品の中でももっともポピュラリティーが強い曲の一つだろう。形式は簡素で、メロディーや和声も平易。のちの彼の作品からは想像できないほど甘口といってよい。それでも各所に印象派と称されるに相応しいたゆたうような雰囲気があって、安直なサロン音楽にはなっていない。アンセルメとOSRの演奏は、そのただよう雰囲気にはジャストミートの響きで、軽みのある弦楽群と魅力的な管楽群とが上質な音楽を奏でてくれる。いくつか聴いたドイツ物とは音の作り方がまるで違い、オケは決して大声を上げず、響きの純度を大切にしているのがよく分かる。小舟にてで聴かせる控えめな歌いっぷり、メヌエットやバレエでの思わずステップを踏みたくなる軽快なリズム処理など、このコンビの真骨頂だ。 この盤の音源。VIDEO 日本IBM社員からなる日本IBM管弦楽団による演奏。VIDEO オリジナルのピアノ四手連弾。ラン・ランとエッシェンバッハ。コンチェルトのあとのアンコールだろう。「小舟にて」と「バレエ」VIDEO ■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■ ■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■にほんブログ村
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月日を重ねて音盤や本が溜まり、同時にこちらの記憶力が低下。その結果時々起こるのがダブり買いやうっかり買いだ。ダブり買いはおそらく誰でも一度や二度は経験があるだろう。手元の音盤棚にもダブり買いしてしまい、いずれ誰かにあげようかと思って封を切っていないCDが何枚かある。きょう取り出したのはそうしたダブり買いではなく「うっかり買い」した一枚。もう少し正確にいうと、うっかり間違えて買ってしまった盤だ。 フランツ・クロンマー(1785-1831)の「管楽合奏のためのパルティータ集」と題されたナクソス盤。演奏しているのはブダペスト管楽アンサンブルという団体。カールマーン・ベルケシュという指揮者が振っている。1995年録音。十年程前に近所の書店のナクソス盤コーナーで手に入れた。 この盤を店で見かけたとき、フランツ・クロンマーという初めて聞く名前に目がいき、次に<ベートーヴェンのライバル>という帯のコピーに目がいき、同時に<管楽合奏のためのパルティータ集>というタイトルに目がいった。あまり知られていないウィーン古典派の作曲家、そして管弦楽曲集…と認識して、当時クラウスやヴァンハル、フンメルらに興味を持っていたこともあり迷わずレジに持っていった。帰宅してプレイヤーにセットして出てきた音を聴いて、あれっ?。スピーカーから出来てきたのは「管弦楽」ではなく「管楽」だったのだ。英文タイトルのWind Ensenbleという文字をあらためて見て判明した。この盤は管楽のための作品集であって、管弦楽のためものではなかったのだ。 フランツ・クロンマーは1785年にモラヴィア(チェコの東部地域。ちなみ西部がボヘミア)に生まれ、1831年ウィーンで亡くなった。あちこちの宮廷や聖堂、劇場の楽長を務めて300曲を超えるあらゆるジャンルの曲を残したいう典型的なウィーン古典派の作曲家。自作の年表で確認すると、ちょうどベートーヴェンやディアベリ、ウェーバーらと重なる。この盤には当時流行っていた管楽器アンサンブル用に書かれた組曲が4つ(他に小さな行進曲が3つ)収録されている。編成はオーボエ2、クラリネット1、ホルン2、バスーン1、ダブルバスーン2の八重奏。曲によってトランペットが入る。組曲といってもバロック期の舞曲形式の組曲ともちろん違い古典形式の4つ楽章からなる組曲。管楽器による小交響曲といってもおかしくない構成だ。曲想は典型的なウィーン古典派のそれで、どこから聴いても古典的和声と整った様式にあふれている。時代的には古典派でも後半に属するが、曲想はモーツァルトやハイドンなどに近く、つまりウィーン古典派という範疇にあってはオーソドクスあるいは保守的な作風といえる。しかしジャケットの帯に書かれていた<ベートーヴェンのライバル>という名に恥じず、主題の切替えや展開では効果的な転調やテクニカルなフレーズなどが繰り出され、凡庸なウィーン古典派に時々あるような冗長さや退屈さは感じない。 管楽器に特別な思い込みのないぼくなどは、これで弦楽が入っていたら更に豊かな響きで楽しめるだろうと思ってしまう。おそらくは当時腕に覚えのある管楽器愛好家らが集まってアンサンブルを楽しんだり、仕えている貴族のパトロン達を楽しませたのだろう。そんな時代の雰囲気を想像しながら聴くのも古典を聴く楽しみの一つだ。うっかり買いではあったが新たな作曲家の作品に触れるきっかけになった一枚。結果オーライでよしとしよう。 手持ちの盤からアップした。パルティータヘ長調作品57 全4楽章VIDEO 貴重な古典派短調作品から二つ貼っておこう。 フルート協奏曲ホ短調作品86VIDEO 交響曲第4番ハ短調 第1楽章。VIDEO ■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■ ■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■にほんブログ村
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桜も散り、花曇りの日をはさみつつ、季節は明るい春本番…と言いたいところだが、現下の状況は程遠い。何とか気分だけでも変えようと思いながら音盤棚を見回すも中々定まらず。ようやく目にとまったこの盤を取り出した。 ローズマリー・クルーニー(1928-2002)のアルバム「Jazz Singer」。多くの白人ジャズシンガー同様、彼女もオーソドクスなジャズに加えポピュラー寄りの曲もこなし、映画にも出演した。しかし、その活躍ほどには日本ではあまり知られない存在でもあった。このアルバムは彼女が2002年に亡くなったあと、50年代の往時の録音からチョイスされ、追悼盤のような形でリリースされた。 アルバムジャケットを最初に見たときはイングリッド・バーグマンかと思った。ちょっと不思議なジャケット写真だ。首を少しかしげたアングルとその表情が何とも物憂い。モノクロ写真だから分からないが、来ている服もモノトーンに見える。そんな雰囲気に惹かれたのもの、この盤を手に入れた理由の一つだ。 お馴染みのスタンダードが18曲並ぶ。バックはフルバンドあり、ストリングスあり、コンボありと多彩。歌いっぷりは極めて素直でノーマル。声質は美しく、明快な発音とも相まって、とても聴き易い。反面、際立った個性、クセ、強烈なオーラのようなものは乏しい。そんな優等生的資質と、多くのポピュラー寄りの曲やアレンジを歌ったこともあって、彼女が生粋のジャズシンガーという印象が薄いのかもしれない。しかし、この盤の「Jazz Singer」というタイトル、またライナーノーツの最後には「Rosemary understood Jazz and love it」とも記されていて、彼女自身や、この盤を企画したプロデューサ(ミヒャエル・フェインシュタイン)が考えていた彼女の原点は、ジャズそのものだったということが分かる。 クラシックでもジャズ、ポップス、歌謡曲でも同じだが、強い個性、過度な感情移入を排して、楽曲を素直に表現することも重要かつ貴重なことだと思う。この盤はスタンダード名曲の素の姿を、素直かつ美しい歌唱で、有りのままに伝えてくれる。 この盤の中の「Memories of you」。本家ベニー・グッドマンのトリオをバックで歌っている。ベニー・グッドマンがワンフレーズ吹き、そのあと1分25秒過ぎからローズマリー・クルーニーの歌が入る。VIDEO 同 「What is there to say」VIDEO 1985年というから60歳少し前の歌唱。ここでもベニーグッドマンの曲を3曲歌っている。VIDEO 江利チエミのヒット曲「Come on a My House」。オリジナルは1951年にローズマリー・クルーニーが歌ったヒット曲。VIDEO ■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■ ■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■にほんブログ村
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新年度開始から一週間。渦中にあって異例づくめのスタートだが、きょう発出された緊急事態宣言を受け、ぼくの職場も明日から勤務体制が変更されることになった。いろいろ問題も出てきそうだが、当面は感染抑制が最優先。何とかやっていこう。さてそんな中、きょうのところは変わらず程々に業務をこなし、いつもの時刻に帰宅した。ひと息ついて音盤ルーチン。先日来、通勤車中で聴いていたバッハのヴァイオリン協奏曲で思い出し、こんな盤を取り出した。 ダヴィッド・オイストラフ(1908-1974)とその息子イーゴリ・オイストラフ(1931-)による協演盤。1956-58年録音。手持ちの盤は2000年頃リリースされた指揮者フランツ・コンヴィチュニー(1901-1962)の録音を集めたボックスセット中の一枚。収録曲とソロの受け持ちは以下の通り。実質的には息子イーゴリのデビュー盤として、ソロのメインを取っているのはイーゴリのようだ。 バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043 イーゴリ&ダヴィッド バッハ:ヴァイオリン協奏曲ニ短調BWV1052 イーゴリ バッハ:ヴァイオリン協奏曲ホ長調BWV1042 イーゴリ ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンのための協奏曲イ短調Op.3/No.8/RV522 イーゴリ&ダヴィッド 11枚から成るこのボックスセットにはコンヴィチュニーと彼の手兵ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によるベートーヴェンとシューマンの交響曲全集が含まれていて、それを聴こうを思ったことがこの盤を手に入れたそもそもの動機だった。このオイストラフ親子による協奏曲集が入っていることはセットの箱を開けてから気付いた。本当に久しぶりに聴いたのだが、今となっては得難い、それも中々強烈な印象が残る演奏だ。 指揮者のコンヴィチュニーとゲヴァントハウス管というコンビの名前を聞いただけで、古色蒼然たるイメージを思い浮かべる。それに加えてオイストラフという名前を目にすると、さらに濃厚かつ重厚な印象を、音楽を聴く前から想像してしまう。そんな勝手な事前予想を抱きつつ、この盤をセットしてプレイボタンを押すと…。最初のひと節が出ただけで事前の予想を超える音楽。堂々たるテンポ設定。ヴァイオリンのソロ、バックのオーケストラ共、すべての音に重量を感じさせ、フレーズは隅から隅までエネルギーに満ちている。昨今の颯爽としたバロック演奏にすっかり慣れた耳にはまさに強烈。それくらい濃厚で重厚な音楽が響いてきて驚いた。半世紀前にはまだまだこうした演奏が大勢だったかもしれないが、そうした中でもこの演奏は際立っていたに違いない。こうして今どきの演奏に慣れた耳で聴くと、むしろ新鮮かつ説得力絶大に聴こえてくる。 以下、手持ちの盤からアップした。いずれも第1楽章のみ。 バッハ:ヴァイオリン協奏曲ニ短調BWV1052(イーゴリ)。もっぱらチェンバロ協奏曲として知られるが、元はヴァイオリン協奏曲だったとされ、ヴァイオリンでもしばしば演奏される。VIDEO バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043(イーゴリ&ダヴィッド)VIDEO ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンのための協奏曲イ短調Op.3-No.8/RV522(イーゴリ&ダヴィッド) 「調和の霊感」の中でももっとも知られ、バッハもオルガン協奏曲BWV593 として編曲している。VIDEO 1974年の映像とのこと。バッハのBWV1043。VIDEO ■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■ ■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■にほんブログ村
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四月最初の週末日曜日。終日在宅。日中は程々にギターの練習。夕方近くになって少し時間があったのでアンプの灯を入れ、数年ぶりにこんな盤を取り出した。 アコーディオンのシュテファン・フッソングとヴァイオリンの加藤知子の協演盤。例によってコロンビアの廉価盤シリーズ:クレスト1000の一枚。1998年録音@秩父ミューズパーク。収録曲は以下の通り、ピアソラとバッハという組合せ。ピアソラが一般の音楽ファンに親しまれるようになったは80年代後半から90年代にかけてだろうか。特にクラシック畑の人達がこぞって取り上げた。ピアソラとバッハが同じアルバムに収まること自体が今世紀的だ。 ピアソラ/ ル・グラン・タンゴ、ミロンガ・ニ調、鮫(エスクアロ)、言葉のないミロンガ、タンゴ・ニ調 J.S.バッハ/ ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ホ短調 BWV1023 ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ ハ短調 BWV1017 ぼくは不案内なので間違いがあれば教えてほしいのだが、アコーディオンはその誕生が19世紀に入ってからというから、楽器としては新しい部類だ。それ以前にも多分様々な試みがなされたものの、当時はまだポータブルの鍵盤楽器を作れるほどの技術水準には至らなかったということだろうか。従ってアコーディオン用のバロック期の組曲もないし、ウィーン古典派のアコーディオン曲というのもない。一般的にアコーディオンあるいはその派生楽器でまず思い浮かべのは19世紀末以降のタンゴやシャンソンなどの音楽だろう。 しかしこの盤を聴くと、もしバロック期にアコーディオンがあったら、携帯可能な通奏低音用楽器としてリュート族と並んで(あるいはそれらに代って)使われたのではないかと想像してしまう。それくらい加藤知子の弾く達者なバッハの通奏低音として、フッソングのアコーディオンは違和感がない。考えてみればアコーディオンの邦訳=手風琴そのもので、ペダルのないコンパクトなオルガンと思えば、パイプオルガンに代って通奏低音の役を担って不思議はない。持続音が出せないチェンバロやピアノと違い、アコーディオンはオルガン同様持続音が出せる。持続音があるとヴァイオリンもその持続音との調和を当然考慮して弾くことになるだろう。その辺りがこの演奏の「予想外の良さ」の一因かもしれない。 それと日本の特殊事情かもしれないが、明治以来日本の教育現場への足踏み式リードオルガンの導入が行なわれ、やはりリード楽器のハーモニカ共々ラジオや蓄音機以前に<国民的音源>として多くの日本人の耳に馴染んでいる。そのためか、こうしたリード楽器の音はノスタルジーも伴い心に沁みる。時代や様式を超えても成り立ち得るバッハの音楽やその当時の通奏低音演奏の柔軟性、またアコーディオンという楽器のやや特殊な成り立ちや独自の音色、そうしたものがないまぜになりながら、斬新ではあるが、どこか懐かしく、かつ違和感のない音楽になっている。 手持ちの盤からアップした。バッハのヴァイオリンとチェンバロのためのソナタハ短調BWV1017から第4楽章。VIDEO 同 ピアソラのル・グラン・タンゴ。VIDEO フッソングの弾くバッハ:イギリス組曲第2番のプレリュード。VIDEO ついでといってはナンだが、関連する音源を貼っておく。 サリア・コンヴェルティーノというアコーディオン奏者が弾く「シャコンヌ」VIDEO 同じリード楽器ながら、こちらは日本の国民的楽器ともいえる鍵盤ハーモニカによるバッハ無伴奏チェロ組曲第3番プレリュード。松田晶氏の演奏。VIDEO ■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■ ■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■にほんブログ村
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