サラ・ヴォーン Sarah Vaughan At Mister Kelly's



月があらたまり、子の年卯月。春爛漫の到来と言いたいところだが、現下の状況変わらず。呑気な気分にもなれない日が続くが、せめて心の平穏のためにと、勝手な理由で音盤ルーティン。今夜はこんな盤を取り出した。


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サラ・ヴォーン(1924-1990)の数ある録音の中でも代表格といってもいい<Sarah Vaughan at Mister Kelly's/ミスター・ケリーズのサラ・ヴォーン>。サイドメンはジミー・ジョーンズ(p)、リチャード・ディヴィス(b)、ロイ・ヘインズ(ds)。タイトル通り、当時シカゴにあったクラブ<ミスター・ケリーズ>(今は大阪に正式な継承店がある)でのライヴ録音。1957年8月6~8日のモノラル録音。手持ちの盤は90年代半ばにリリースされていた輸入盤。オリジナルLPは8月6日の録音から9曲が収録されていたが、CD時代になって三日間の中から追加され、手持ちのこの盤では全20曲が収録されている。

男性司会者による前フリの口上のあと、第1曲の<九月の雨>が始まる。当時33歳のサラ・ヴォーン。声は若々しくも潤いにみち、ゆとりをもちながらも妙に崩すこともなく丁寧に歌いぬく。サポートするピアノトリオの控え目なバックの中から時折り聞こえてくる客の語らいやグラスの触れ合う音。モノラルながら音質は良好だ。クラブでのライヴということから、スローバラードとミディアムテンポの曲が程よくミックスされて進んでいく。第9曲の<How High The Moon>でもエラ・フィッツジェラルドとは対照的に軽く落ち着いたアレンジで、思わずニヤリとしてしまう。オリジナルLPになかった追加曲のトラックでは、サラ・ヴォーンと客の語らう声もしばしば聞こえてきて、ライヴ感が一段とたかまる。 下戸のぼくも、席を取ってウーロン茶のグラスを傾け、春の宵を楽しみたくなる。


この盤の音源。


この盤とほぼ同時期のライヴでの歌唱。ベースのリチャード・デイヴィス以外は異なるメンバー。



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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