バリリSQ ベートーヴェン弦四第一
四月に入って最初の週末金曜日。ちょっと物憂い春の宵。音盤棚を見回し、久しぶりにこんな盤を取り出した。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第1番ヘ長調。バリリ弦楽四重奏団による演奏。1950年代前半のモノラル録音。この全集はかれこれ二十年程前、近所のリサイクル店のジャンク箱から捕獲してきたもの。その店は当時まだ開店まもない頃で店内もいささか混乱気味。クラシックのLP盤はほとんど値踏みした様子がなく転がっていた。実際全9枚のこのバリリ盤全集は2000円だったし、バーンスタイン&ニューヨークフィルによる全14枚のマーラー全集(1回目の録音)、カラヤン&シュターツ・カペレ・ドレスデンによる全5枚組のワグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」全曲盤はいずれも980円で手に入れた。中古レコードを持ち込んでも値が付かないとブツブツ言いたくなる一方、こんな拾い物もしているのでリサイクル店に対し一方的に文句も言えない。

さてこのバリリSQのウェストミンスター盤。60年代半ばの国内プレスで、この頃の盤らしく分厚く重量のある材質。久しぶりに針を落としてみたが実にいい音で鳴る。モノラル録音かつ周波数レンジも狭いのだが、ノイズは感じないし何より盤質同様に音が分厚く暖かい。 ベートーヴェンの弦楽四重奏曲はいずれも傑作揃いといっていいだろうが、この第1番も初期の作品ながら充実した音楽だ。中期のようや厳しさや激しさ、後期のような意味深長さはないものの、時代が重なるハイドンなどの作品とは明らかに一線を画している。取り分け第2楽章は初期作品でありながら、詠嘆調の美しさに満ちていて美しい。バリリSQの音色はどこまでも柔らかく優しい。1stヴァイオリンのワルター・バリリをはじめ、当時のウィーンフィルのメンバーで構成されていることからも容易に想像できるように、演奏スタイルも戦前から戦後あたりまでのウィーンスタイルというべきもので、演奏はもちろん、レコードから流れてくる音色もそのスタイルによるところが大きいだろう。
今や限りなく懐かしい響きのバリリSQ。第1番の聴きどころ第2楽章。
第1番全楽章のスコア付き音源。ズスケSQによる演奏とのこと。
00:00 Allegro con brio/09:04 Adagio affettuoso ed appassionato
18:12 Scherzo.Allegro con brio/21:43 Allegro
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