オイストラフ親子のバッハ
新年度開始から一週間。渦中にあって異例づくめのスタートだが、きょう発出された緊急事態宣言を受け、ぼくの職場も明日から勤務体制が変更されることになった。いろいろ問題も出てきそうだが、当面は感染抑制が最優先。何とかやっていこう。さてそんな中、きょうのところは変わらず程々に業務をこなし、いつもの時刻に帰宅した。ひと息ついて音盤ルーチン。先日来、通勤車中で聴いていたバッハのヴァイオリン協奏曲で思い出し、こんな盤を取り出した。

ダヴィッド・オイストラフ(1908-1974)とその息子イーゴリ・オイストラフ(1931-)による協演盤。1956-58年録音。手持ちの盤は2000年頃リリースされた指揮者フランツ・コンヴィチュニー(1901-1962)の録音を集めたボックスセット中の一枚。収録曲とソロの受け持ちは以下の通り。実質的には息子イーゴリのデビュー盤として、ソロのメインを取っているのはイーゴリのようだ。
バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043 イーゴリ&ダヴィッド
バッハ:ヴァイオリン協奏曲ニ短調BWV1052 イーゴリ
バッハ:ヴァイオリン協奏曲ホ長調BWV1042 イーゴリ
ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンのための協奏曲イ短調Op.3/No.8/RV522 イーゴリ&ダヴィッド
11枚から成るこのボックスセットにはコンヴィチュニーと彼の手兵ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によるベートーヴェンとシューマンの交響曲全集が含まれていて、それを聴こうを思ったことがこの盤を手に入れたそもそもの動機だった。このオイストラフ親子による協奏曲集が入っていることはセットの箱を開けてから気付いた。本当に久しぶりに聴いたのだが、今となっては得難い、それも中々強烈な印象が残る演奏だ。
指揮者のコンヴィチュニーとゲヴァントハウス管というコンビの名前を聞いただけで、古色蒼然たるイメージを思い浮かべる。それに加えてオイストラフという名前を目にすると、さらに濃厚かつ重厚な印象を、音楽を聴く前から想像してしまう。そんな勝手な事前予想を抱きつつ、この盤をセットしてプレイボタンを押すと…。最初のひと節が出ただけで事前の予想を超える音楽。堂々たるテンポ設定。ヴァイオリンのソロ、バックのオーケストラ共、すべての音に重量を感じさせ、フレーズは隅から隅までエネルギーに満ちている。昨今の颯爽としたバロック演奏にすっかり慣れた耳にはまさに強烈。それくらい濃厚で重厚な音楽が響いてきて驚いた。半世紀前にはまだまだこうした演奏が大勢だったかもしれないが、そうした中でもこの演奏は際立っていたに違いない。こうして今どきの演奏に慣れた耳で聴くと、むしろ新鮮かつ説得力絶大に聴こえてくる。
以下、手持ちの盤からアップした。いずれも第1楽章のみ。
バッハ:ヴァイオリン協奏曲ニ短調BWV1052(イーゴリ)。もっぱらチェンバロ協奏曲として知られるが、元はヴァイオリン協奏曲だったとされ、ヴァイオリンでもしばしば演奏される。
バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043(イーゴリ&ダヴィッド)
ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンのための協奏曲イ短調Op.3-No.8/RV522(イーゴリ&ダヴィッド) 「調和の霊感」の中でももっとも知られ、バッハもオルガン協奏曲BWV593として編曲している。
1974年の映像とのこと。バッハのBWV1043。
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