アバドの「幻想」



先日来繰り返し記事にしているベルリオーズの幻想交響曲。ことのついでいってはナンだが、今夜はこの盤を取り出した。


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クラウディオアバド&シカゴ交響楽団による本拠地シカゴシンフォニーホールでの1983年の録音。当時シカゴ響はショルティとの全盛期真っ只中であったが、同時に82年から85年までアバドを首席指揮者に迎え、独グラモフォンにいくつか録音を残した。この盤もその中の1枚。ショルティ&シカゴ響のコンビには1977年の来日公演で接している。大学4年の夏だったが、6000円のチケット代を一度に払えず2回の分割で支払った(当時の学生バイトが1日2500円だった)。そのときのプログラムがドビュシーの海とベルリオーズの幻想。シカゴ響はともかくよく鳴るオケだった。金管群などは余裕の吹きぶりながら圧倒的な響きで押してきた。

しかしシカゴ響のそんなイメージをもってこの盤を聴くと、その予想は見事に裏切られる。第1楽章の出だしそして主部になっても響きが実にしなやかで美しい。第2楽章のワルツも控え目なくらいの歌いっぷり。第3楽章も木管が遠めに定位してよく溶け合った響きで美しい。派手でイケイケのアメリカンメジャーオケという感じはしない。アバドの采配と独グラモフォンの録音ポリシーとが相まっての結果だと思うが、デッカ録音のショルティ&シカゴとは随分印象が異なる。もちろん第4、第5楽章ではシカゴ響の優秀な合奏能力とパワーも存分に発揮されるのだが、ともかく第3楽章までが際立って美しい。しなやかで美しく流れる音楽を作るアバドのいい面が出た演奏だ。それにしても1830年というまだ初期ロマン派といってもいい時代に、これほど革新的な曲を作ったベルリオーズにあらためて驚く。


シカゴ響の今


この盤の音源



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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