クレンペラーのワグナー管弦楽曲集<1>



週明け月曜日。都内での仕事を終えて19時過ぎに帰宅。東京駅も新幹線も随分と人出が戻ってきた。長らく閉じていた東京駅構内の店も営業再開。観光客はまだまばらだが、仕事関連と思しき人達は自粛前の7割程度まで戻ったのではないだろうか。そうはいっても感染リスクは以前としてあり、自分で出来る用心をして臨むばかりだ。 そんなことを思いつつ、夜更け前のひととき。先日聴いたシューリヒトのワーグナーで思い出し、今夜はこんな盤を取り出した。


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オットー・クレンペラー(1885-1973)とフィルハーモニア管弦楽団によるワーグナー・アルバム。LP時代から繰り返しリリースされ、CD時代になっても何度か再発されている。手元のこの盤はまだ東芝EMI時代の2006年に廉価盤としてリリースされたときのもの。EMIは過去にHS2088やらARTやら何度かデジタル化のマスタリングプロセスを変えているが、この盤には<24bit最新リマスタリング>とだけ記されていている。1960年ロンドン・キングスウェイホールでの録音。ワーグナー管弦楽曲集<1><2>と、二つのアルバムにワーグナーの主要な管弦楽曲が収録されている。VoL.1のこの盤の収録曲は以下の通り。

1.歌劇「リエンツィ」序曲
2.歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
3.歌劇「タンホイザー」序曲
4.歌劇「タンホイザー」第3幕の前奏曲 “タンホイザーの巡礼”
5.歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
6.歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲
7.楽劇「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲と“愛の死”

演奏は今更くどくど駄文を連ねる必要もない評価の高いもの。今夜久々に少しボリュームを上げて聴いてみて、あらためて感心した。まず音楽の捉え方が整然としていて実際の音作りも極めて明晰だ。もちろん重厚な音の積み重ね、悠然としたテンポ設定などはいかにもドイツの権化;ワーグナーに相応しい。しかし決して混濁せず、熱気で押し切るようなところがない。晩年のイメージから独墺系の重鎮をイメージするクレンペラーだが、若い頃は現代音楽を積極的に取り組んだというから、音楽の基本的な組立ては明快で冷静なのだろう。リエンツィ、オランダ人、タンホイザーと3曲続けて聴くだけで、クレンペラーの特質、音楽作りの方向性はよく分かる。

またこの盤はリマスタリングの成果もあるのか音質も良好。さすがに最新録音と比べるとレンジはやや狭く、硬質な印象だが、各パートの分離は中々よく、一つ一つの楽器やパートが糸を引くようにきれいに分離してピックアップされている。当時2000席を誇ったキングスウェイホール(80年代半ばに閉鎖され、その後はホテルとして運営されている由)だが、残響はやや短め。このあたりの録音条件も明晰な音楽作りにつながっているように思う。更にクレンペラーの指示でヴァイオリン群の対向配置をとるフィルハーモニア管の演奏能力も極めて高い。弦楽群のソノリティーはよく整っているし、オーボエなど木管群の音色も印象的だ。また時折繰り出すホルンの強奏も迫力十分。このオーケストラの創設者ウォルター・レッグが腕利きのミュージシャンを集めただけのことがある。ワーグナー・アルバム数々あれど、このクレンペラー盤はフルトヴェングラーやクナッパーツブッシュなどとはまったく異なるアプローチながらも、ドイツ的な重厚さを存分に味わえる名演だ。


この盤の音源。タンホイザー序曲


同。ローエングリン前奏曲。



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