荘村清志@1974
先週のNHK・Eテレ「ららら♪クラシック」では武満徹が取り上げられた。番組を観た知人から、荘村清志の姿を久々にみたとメールが届いた。荘村清志も古希を過ぎたか…そんなことを思い出し、今夜はこんな盤を取り出した。
@1974

@2008年

@1973年夏 当地来演時のサイン

1970年代、日本のクラシックギター界の明日を背負っていた若手演奏家が三人いた。全員が同じ1947年生まれの渡辺範彦、芳志戸幹雄、荘村清志の三人だ。残念なことにこのうち二人はすで他界している。芳志戸幹雄は嘱望されながら1996年に49歳で、パリ国際コンクールで日本人として初めて優勝した渡辺範彦も2004年春に56歳で亡くなった。そして唯一70年代には一般の音楽ファンにも人気も博した荘村清志だけが今も元気に活躍している。
写真のアルバムは1974年の録音で、荘村清志が人気のピークにあった頃のものだ。十年程前、出張の際にJR長野駅前の書店で開かれていた中古レコード市で見つけて出張カバンに入れてきた。この当時の彼をぼくは三度ほど聴いている。1973年に当地前橋に来演したときは楽屋までいって、楽譜にサインをしてもらった。その楽譜は今もときどき引っ張り出して弾くことがある。
この盤では、ダウランドのリュート曲、バッハのリュート組曲第1番、それとヴィラ=ロボスの前奏曲と練習曲からの抜粋を弾いている。レコードの音を聴いて、当時の彼のステージから聴こえてきた音を思い出した。楽器は確かホセ・ラミレスだった。大きな手でそのラミレスからたっぷりとした音が聴こえてきた。特に低音が特徴的で、ややつぶれたような感じの独特な低音で、高音も含めて美音ではなかったが、ともかくダイナミックだった。特にこの盤でも弾いているヴィラ=ロボスは圧巻で、技巧的なパッセージでも音量が落ちることなく、鮮やかに弾いていた。このバッハなど聴くと流麗とは言い難いし、フレーズも途切れ途切れのところが散見される。21世紀の若手たちはもっと美しく完璧に弾くことだろう。この盤は70年代の、良くも悪くも当時の日本におけるクラシックギターの記録だ。荘村清志も80年代から90年代にやや低迷した時期があったが、近年再び活発に活動している。古希を越える年齢になったが、一層円熟した演奏を聴かせて欲しい。
タレガ<グランホタ> 2000年の演奏とのこと。この映像を見ると、髪型からして70年代当時の面影を感じる。
生い立ちを語る。4分15秒過ぎに出てくるリサイタルのパンフレットは、従兄あたる伊丹十三のデザイン。
福田進一とのデュオ収録風景
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