ハイティンク 若き日のマーラー第4



梅雨の真っ盛りながら、時々初夏の気分。昼の熱気が癒え、エアコンのサポートでひんやりとした夜に相応しい曲は何だろうと思い、こんな盤を取り出した。


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ベルナルト・ハイティンク(1929-)指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管の演奏。1967年録音。昨年引退したものの指揮界の最長老の一人であることに違いのないハイティンクが38歳のときの録音。ジャケット裏には1977年5月の日付けメモがある。大学4年の春だ。この頃は盛んにマーラーやブルックナーを聴いていた。マーラーの交響曲の中で比較的小規模で曲想も馴染み深いにもかかわらず、随分前から4番は聴くことはまれ。どうしても5番や2番、3番、9番当たりに手が延びる。この盤を聴くのは本当に久しぶりだ。

CEC製ターンテーブルにのせ、SPUの針を下ろすと、半世紀前の録音とは思えない澄んだ響きで、冒頭の印象的な鈴の音が流れてきた。蘭フィリップスの録音らしく、軽めの低音と透明感のある響き。編成が小さいわけではないだろうが、音像をやや近めに録って、この曲の持つ室内楽的なイメージがよく出ている録音だ。最初の二つの楽章は終始穏やかなメルヘン調。第3楽章はいかにもマーラーの緩徐楽章らしい息の長いフレーズと美しい歌にあふれるが、他の作品に聴かれる濃い口かつ世紀末的なアダージョ楽章とは異なり、前半の二つの楽章同様、穏やかで屈託がない。初夏のこの時期に相応しい。終楽章では子供の角笛の歌詞が同じオランダ生まれのエリー・アメリンク(1933-)のソプラノで歌われる。

この曲は昔からマーラー入門曲とされてきたが、こうしてあらためて聴き直してみると、どうしてどうして。入門と言わず、長年マーラーを聴いてきた輩も思わず唸るに違いない。釣りの例えではないが、マーラーは4番に始まり4番に終わると言っても過言ではない、納得の名曲だ。


この盤の音源


ハイティンク指揮オランダ放送フィルによる演奏。2014年ハイティンク85歳。



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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