F・ソル 喜遊曲 作品34 "L'Encouragement"
外出自粛や在宅勤務シフトが無くなってほぼひと月。楽器に触れる時間は3~5月に比べ、やはり減ってしまった。この歳でまだフルタイムで働いていることもあって、平日は中々時間が取れない。週末も野暮用で忙殺されることが多いのだが、きのうの日曜は午後少し時間があったので、こんな曲をさらってみた。

フェルナンド・ソル(1778-1839)が残したギター二重奏曲「喜遊曲」作品34。「L'Encouragement_アンクラージュマン」(はげまし)という副題が付されている。 ソルはギター弾きにはお馴染みの作曲家だ。19世紀初頭の古典ギター全盛期、多くのギター演奏家兼作曲家が活躍した中でも格段に優れた曲を残した。スペイン生まれながら、パリやイギリス、ロシアで活躍し、ギター曲なみならず管弦楽曲やオペラ、バレエ音楽なども残したが、現在ではもっぱらギター曲のみが知られる。
ソルの残した作品でかなり重要な位置を占めるのがギター二重奏曲だ。あるものは生徒と教師のための教育用として、あるものは友人との二重奏用として書かれ、技術的にやさしいものからコンサートプログラムになるものまで幅広い。そして曲の大小に関わらず、いずれも19世紀初頭の古典から初期ロマン派様式感と豊かな和声に彩られ、聴いていても弾いていても、実に美しく楽しい。
そんなソルの二重奏曲にあって、この作品34「アンクラージュマン」は、明るい楽想と程々の規模、中上級者なら苦労より楽しみが勝る程度の難易度などから、昔から人気が高い。ぼくが初めてこの曲を知ったのは高校時代。その後、大学のとき、社会人になってからと、何度か相棒を得て弾いたことがある。
曲はカンタービレ、アンダンティーノ(主題と変奏)、ワルツの3つに部分からなる。元々は生徒用の旋律パートと先生用の伴奏パートに分けて書かれたが、ソルの弟子だったナポレオン・コストが分担を適宜入替え、ほぼ対等な2つのパートに書き改めた。今ではほとんどの場合、その版が使われる。3つの部分すべてがホ長調を取り、明るく穏やかな旋律と、深刻にならない程度の緊張感を伴なって曲が進む。真ん中の変奏曲部分に少しテクニカルな速いパッセージがあるものの、全体としてそれほど厄介なところがなく、その辺りが人気の由縁かもしれない。二重奏曲なので一人で弾いていても…という感があるが、練習課題としてこうした二重奏曲をさらっておけば、いざ相方が得られたときにすぐに遊べるので一石二鳥ではないだろうか。
この曲が書かれた当時の服装・楽器によるオーセンティックな演奏。最初のカンタービレ部分のみ。残念ながら音はモノラル録音でやや冴えない。
モダンギターによる若々しい演奏。
楽譜はこちらに
http://wayback-01.kb.dk/wayback/20101028111758/http://www2.kb.dk/elib/noder/rischel/RiBS1053.pdf
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