C・ツィマーマンのショパン・ピアノ協奏曲
週明け月曜日。いつもの一日が終わる。帰宅後しばらくして一服。何気なく音盤棚を眺めていたら、こんな盤と目が合い、久しぶりに取り出した。

クリスチャン・ツィマーマン(1956-)がポーランドの若手演奏家350名の中から自らが選んで組織したオーケストラ(ポーランド祝祭管弦楽団)を弾き振りして、ショパンの協奏曲第1番と第2番を収めた盤。リリースされたのは1999年秋だから、もうふた昔前のことになってしまった。この演奏を最初に聴いたのは車で移動中のFM放送だったと記憶しているが、思わずブレーキを踏んで車を路肩に付けて聴き入ったほどだ。
これほどまでに微に入り細をうがつオーケストラパートの演奏を聴いたことがない。濃厚な表情付け、弦はポルタメントを伴ってすすり泣くように歌い、木管群は深い寂寥感を伴う。アウフタクト大きく引き伸ばされ、その音を受けて次のフレーズではほんの1、2小節の間にテンポは大きく揺れる。ショパンの協奏曲におけるオーケストラパートはピアノソロに比べ、ほんの添え物とさえ言われることが多いが、この演奏を聴くと、結局は指揮者の料理の仕方一つで何とでもなるということを痛感する。そのベースになっているのは、ツィマーマンの同郷であるショパンに対する深い思いだろう。ピアノの妙技を前面に出し、通り一遍の表情付けで破綻無きよう合わせるだけのオーケストラパート、そんな凡百の演奏に一石を投じる稀代の名演だ。
この盤の簡易スコア付き音源。第1楽章だけでも24分を要している。冒頭のアウフタクトの尋常ならざる入り。00:11秒の下降音形でのポルタメント。00:25での休止符の引き伸ばし…スコアの細部を見直し、オケに徹底させた結果だ。00:50過ぎからのホ短調の主題「北の宿から=あなたかわりはないですか~」を切々と歌う。01:30過ぎからのルバートも絶妙。
ギター弾きなら楽器抱えてオケパートをなぞるのも楽しい。調性もギターで扱いやすく、初見大会には絶好だ。
この曲の室内楽版。編曲は複数あるようだが、以下の音源はコントラバス入り弦楽五重奏のバックによるもの。
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