サン=サーンス交響曲第3番ハ短調
先日の日曜日、NHK:Eテレでサン=サーンス「動物の謝肉祭」の演奏を聴いた知人からメールがあった。何でもナレーション入りで同曲を聴いたのは初めてで、中々興味深かったとのこと。「動物の謝肉祭」かあ…そういえば小澤&BSO盤のCDがあったなあと思い出しつつ、音盤棚をサーチしていると、同じサン=サーンスのこの盤と目が合ったので、それではと取り出した。

エルネスト・アンセルメ(1883-1969)とスイスロマンド管弦楽団(OSR)によるの例のボックスセットのフランス音楽編15枚目。収録曲は以下の通り。
・サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調 Op.78「オルガン付き」
・サン=サーンス:オンファールの糸車 Op.31
・ベルリオーズ:「ファウストの劫罰」Op.24より
・ベルリオーズ:「ベンヴェヌート・チェッリーニ」序曲
今夜はこの中からサン=サーンスの交響曲第3番を選んでプレイボタンを押した。
オルガン付きの交響曲として有名なこの曲。かつては何かキワモノ的でほとんど聴くことも無かったのだが、近年になってその良さを感じるようになった。実質四つの楽章に相当する構成を持つが、前後二つずつの部分を第1楽章と第2楽章として集約している。よく取り上げられるのは最終部の派手なドンパチだが、前半第1楽章の第1部、第2部も充実している。
サン=サーンス(1835-1921)は<フランスのメンデルスゾーン>とも言われるが、この第1部など聴いていると、8分の6拍子にのって展開される美しいメロディーや和声に、メンデルスゾーンの第3番<スコットランド>や<フィンガルの洞窟>に通じるものを感じ、フムフムと納得する。第1楽章の第2部<ポコ・アダージョ>は冒頭オルガンが奏する和音にのって弦楽群が美しく歌う。消え入るような終結部も印象的だ。後半第2楽章はそれまでの静的だった曲想から転じて、一気に音楽が動き出す。スケルツォのトリオに相当する箇所からはピアノ連弾が加わり、さらにプレストに転じると、トロンボーン、チューバ、コントラバスなどの低音楽器が重層的に主題を出して一層音楽は盛り上がっていく。この辺りから最後まではこの曲の真骨頂の展開が続く。
デッカサウンドの全盛期1962年の録音。マルチマイク録音による明瞭な管弦楽の分離、部屋を揺るがすようなオルガンのペダル音など、この曲を聴く醍醐味に相応しい。手元には70年代前半に出ていたLP盤もあるが、CDに勝るとも劣らない高音質。 アンセルメとOSRの演奏は録音マジックに支えられた成果だったと言われることも多いが、半世紀前の当時、演奏・録音ともこれ以上のものは望むべむもなかっただろう。取り分けこの盤の音質は素晴らしい。敬意を表すべき名盤だ。同時に、こういう曲になるとオーディオ的観点からだけでなく、音楽を適確にとらえるためにも、オルガン低音の基音がしっかり出るシステムが必須と感じる。
この盤の音源。交響曲第3番第1楽章前半:Adagio-Allegro moderato
同 第2楽章前半:Allegro moderato-Presto…終わるとそのまま後半がオルガンの響きと共に始まる。
パーヴォ・ヤルヴィとパリ管によるライヴ。会場はパリ管の新しい本拠地フィルハーモニー・ド・パリ。
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