クナッパーツブッシュ&VPO ワーグナー名演集



十月に入ってさすがの暑さも癒えてエアコンの送風音とも無縁になり、静かな夜の音盤タイム。そういえばしばらく聴いていないなあと、突然思い出したようにワグナーが聴きたくなり、この盤を取り出した。


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ハンス・クナッパーツブッシュ(1888-1965)がウィーンフィルを指揮したワグナーアルバム。1956~1959年の録音。手持ちの盤は90年代終盤にミッドプライスで出たときのもの。収録曲は以下の通り。

1.楽劇「神々の黄昏」 夜明けとジークフリートのラインへの旅(序幕)
2.楽劇「神々の黄昏」 ジークフリートの葬送行進曲(第3幕)
3.舞台神聖祝典劇「パルシファル」 クンドリの語り「幼な子のあなたが母の胸に」(第2幕)
4.楽劇「ヴァルキューレ」 ヴォータンの告別「さようなら、勇ましいわが子」-魔の炎の音楽(第3幕)
5.楽劇「トリスタンとイゾルデ」 第1幕への前奏曲
6.楽劇「トリスタンとイゾルデ」 イゾルデの愛の死「優しくかすかな彼のほほえみ」(第3幕)

世には熱心なワグナーファン、クナファンも多く、この演奏の素晴らしはすでに語り尽くされている。クナッパーツブッシュのワグナーを初めて聴いたのは、もう40年以上も前の学生時代。定石通り?当時盛んに筆をとっていた宇野功芳御大の文章に感化されたのがきっかけで、晩年のミュンヘンフィルとのワグナー管弦楽集や英デッカの総力を挙げたリング全曲録音となるはずだった(結局その計画はショルティに受け継がれた)ワルキューレ第1幕を手に入れた。当時、簡単に手に入る盤はその程度だった。ぼくのワグナースタンダードはこれらの盤による。だから、それ以降聴いた<普通の>演奏が物足らなく感じたのも無理はない。

悠揚迫らぬテンポ、深い呼吸によるフレージングとアインザッツ、いずれも巨大なワグナーの曲想を一層神格化するような演奏だ。この盤ではそうしたクナの持ち味が生々しいステレオ録音で堪能出来る。いずれの曲も極めつけの演奏といっていいが、中でもヴォータンの告別「さようなら、勇ましいわが子」と魔の炎の音楽は圧巻だ。ジョージ・ロンドンの深みと張りのある声、オンマイクでとらえられたのウィーンフィルのリアルな音像、楽劇全曲盤を聴くにしくはないが、中々腰を据えて全曲盤を聴くことも出来かねる。この1枚のアルバムはお手軽という気安い言葉では扱えないほどの重さを持ちながらも、ふと思い立ったときにワグナーの響きに浸れる名盤だ。


この盤の音源。楽劇「ヴァルキューレ」ヴォータンの告別-魔の炎の音楽。


同じくこの盤の音源。 楽劇「トリスタンとイゾルデ」より第1幕への前奏曲と「イゾルデの愛の死」


同上 前奏曲と「イゾルデの愛の死」 同じメンバーによる1962年のライヴ。クナ…カッコ良すぎるぞ!



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