L・ブラーボ編「タンゴ名曲集」



当地関東地方は先週末からようやく秋らしい日に恵まれるようになった。暑からず寒からず。湿度低く空気も澄んで気持ちがいい。ギターケースを開けて部屋に並べ、楽器も深呼吸。心理的バイアスも働き、出てくる音も天高く響き渡るように感じる。そんな気分の良さに押されて、少し前に手に入れた楽譜を取り出した。


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アルゼンチン出身で現在日本で活躍するギタリスト:レオナルド・ブラーボ(1967-)によるギターのためのタンゴ名曲集。収録曲は以下の通り。

ビジョルド:エル・チョクロ/カナロ:ティエンポス・ビエホス(古き時代)/コビアン:リアチュエロの霧/ピアソラ:チキリン・デ・バチン(バチンの男の子)/トロイロ:下町のロマンス/ピアナ&カスティージョ:シルバンド(口笛を吹きながら)/ガルデル:ポル・ウナ・カベサ(首の差で)/ガルデル:想いの届く日/バルディ:恋人もなく/カロ:黒い花/ピアソラ:アディオス・ノニーノ/ピアソラ:ブエノスアイレス午前零時/モレス:タキート・ミリタル(軍靴の響き)/ビジョルド:エル・チョクロ/マフィア:ベンタロン [二重奏]/フレウリ:テ・バス・ミロンガ [二重奏]/ピアソラ:オブリビオン(忘却)[二重奏]

ぼくはタンゴを含むラテン音楽にはまったく不案内なので、これらの収録曲についてピンとくるものは少ないのだが、解説によれば、タンゴ創成期の曲からピアソラまで幅広く収録されているとのこと。そしてタンゴをよく知らないぼくのような門外漢のために、この手の曲集としては珍しく、ブラーボ氏自身による、かなり詳細は解説が付されている。 いずれの曲もおおむねアマチュア中級から上級の技術レベルを前提としているが、いくつかは初見でも弾き通せて、楽しめる。

ギター属は現代のもっともポピュラーな楽器の一つだが、いわゆる「クラシックギター」となると、その名に反してクラシック音楽全体における存在感は薄い。むしろポピュラー、取り分けタンゴを含むラテン音楽における存在感の方が余程大きいだろう。ブラーボ氏の解説にも書かれているが、民衆音楽としてのタンゴは元々楽譜に記されたものは少なく、多くは奏者や歌手によって伝承されてきた。それをクラシックギター用に記譜することには窮屈さもあるだろうが、記譜することで、そこを基点として、様々な味わい、語法を付け加えて楽しむこともできる。ときにこんな楽譜を広げるのも、ソルやメルツの19世紀古典ギター曲の味わいとは異なる脳内刺激があって楽しい。


この曲集によるCD発売時の記念コンサートを前にしたブラーボ氏


本曲集にも収録されている、古き良き時代のタンゴの代表作ともいえるガルテル作曲「想いの届く日」。林祥太郎によるブラーボ編の演奏。名器アルカンヘル・フェルナンデスが美しく響く。


同曲 オリジナルの歌唱ヴァージョン。 演奏は1分30秒過ぎから 4分20秒過ぎからギターソロも。
パオラ・エルモシンというスペインのギタリストにしてシンガー、ソングライター



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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