さよなら!カリス



東京・恵比寿のギターショップ「カリス」閉店の報に触れたのが今月初め。ここ数年、何度かお世話になっていたこともあり、閉店までに一度お邪魔しようと思っていた。折よく先日アポも取れ、都内での仕事を終えたあとに訪問することができた。


試奏する同行したおうどんさんと高矢店長
202011_Charis.jpg


少し前にこのブログにコメント寄せてくれたギター愛好家ハンドルネーム「おうどんさん」とひょんなことで意気投合し、一緒にいかが?と速攻ネットナンパ。カリスの入っているマンション前で待ち合わせとなった。「初めまして」の挨拶もそこそこに店内へ。いつも通り店長高矢さんが迎えてくれた。

閉店の報が流れてからそれほど時間は経っていないが、その前後から在庫整理も進めていたようで、楽器や備品類も大方片付き、店内はガランとした様子。閉店当日というわけではないが、さすがに寂しさが募る。持参した当地群馬伊香保温泉の温泉まんじゅうを頬張りながら、高矢さん、おうどんさん、私、そして高矢さんの奥様も交えてしばし歓談。こんな時間ももう持てなくなるのかと、妙にしんみり。

店内を見回しながら感慨にふけっていると、高矢さんがおもむろに立ち上がり、ギターケースを開けて1本のギターを取り出した。「はい、どうぞ」と高矢さんが差し出したのは、かのロベール・ブーシェ作のギター。同行のおうどんさん、私共に思わず「おおっ!」と半身をのけぞりながら叫んでしまった。訪問の日時について高矢さんと連絡を取っていたとき、「ブーシェがあるので弾いてみて下さい」と聞いていたのだ。

オーラ全開のブーシェギターの有り様については、「次世代を担うギター試奏アナリスト」おうどんさんが早速ブログにアップしているので、そちらを参照されたい。ぼくの印象を手短に言うと…兎も角すべての音が太く強いパワーをもって鳴り、胴鳴りを伴なう豊かな響きを持ちながらも、単音も和音も曖昧なところがない。タッチに対するリニアリティ、音色変化へ対応など、コンサートギターとして備えるべき要素に対しておよそ死角がない…そんな印象を受けた。ブーシェギターはこれまでに数回弾いたことがある。特に一昨年アウラでみた初期の作品は、トーレスを志向したスパニッシュな味わいが色濃い素晴らしいものだった。今回の個体はそうした初期の段階を過ぎ、後期まで続くブーシェスタイルの完成形で、音はもちろん物理的な状態も含めて、圧倒的に優れた個体だと断言できる。貴重な機会を提供してくれた高矢さんには感謝しかない。


店内在庫放出中。この日の戦利品!!
202011_Charis_2.jpg


ブーシェと前後して岩田博行2016年作のギターも試奏。こちらは以前一度弾いているが、そのときの印象を上回る好印象。別格のブーシェを弾いたあとでも、劣らない存在感を感じさせる素晴らしいギターだった。

カリスは12月初旬まで営業中。店内には楽譜・書籍・CD・備品類がまだ残っていて廉価放出中だ。この日も何点か破格値で分けてもらってきた。出来れば近々もう一度訪問してサルベージしたいと思っている。 どの世界でも自分が慣れ親しんだショップの閉店は寂しい限りだが、諸事情あってのことでやむを得ない。ぼくとほぼ同年代の高矢店長はまだまだ別の分野で活躍されることだろう。また縁があればよろしく。そしてナンパに応じてくれたおうどんさん。また機会作って会いましょう。


プーランク「愛の小径」カリス店長高矢さんとヴァイオリン相方との演奏。原曲の変ニ長調(D♭)を高矢さんがギターに適したニ長調に移した版での演奏。


ピアソラ「タンゴの歴史」 高矢さんはアコギでギターパートを…この手があったか!



■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

イッセルシュテットのブラームス第四



秋のブラームス祭りを続ける。今夜はこんな盤を取り出した。


202011_Isserstedt.jpg202011_JB4_Isserschtette.jpg


イッセルシュテットと北ドイツ放送交響楽団による交響曲第4番ホ短調。ブラームスは四つの交響曲を残しているが、中でも3番と4番の深く渋い味わい、鬱々とした表情は今の季節にふさわしい。ブラームスの交響曲を聴き始めたのは、今から四十年以上前の学生時代。当時からベートーヴェンや他の作曲家の交響曲に比して、ブラームスの曲を聴くことが圧倒的に多かった。部屋の音盤棚を見るとLP・CD取り混ぜて、フルトヴェングラー、ワルター、カラヤン、クレンペラー・、ベーム、ボールト、バーンスタイン、チェリビダッケ、ヴァント、ケンペ、バルビローリ、スウィットナー、サバリッシュ、インバル、シャイー…といった指揮者達の全曲盤が収まっている。その他に全集にはなっていない単発の盤も相当数あって、どうにも止まらない~♪状態。その中にあって、このイッセルシュテット&NDR盤は激渋の一枚だ。手持ちの盤は70年代半ばに廉価盤シリーズで出ていたもの。

ハンス・シュミット・イッセルシュテット(1900-1973)と聞くと、もう名前からしていかにもドイツだ。実際彼はベルリンで生まれ、キャリアのほとんどをドイツで積んだ。英デッカに多くの録音を残していて、ウィーンフィルとのベートーヴェン交響曲全曲やバックハウスをソリストにした同じくベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲は今でもそれぞれの曲のスタンダートたる名盤だ。このブラームスの4番では彼の手兵ともいえるハンブルグの北ドイツ放送交響楽団を指揮している。ハンブルグはブラームスの生地でもある。ぼくのイメージするブラームス=暗く雲が垂れ込めた冬の北ドイツ…というイメージにはオケもぴったりだ。

第1楽章の出だし、ややゆったりテンポと渋い音色で曲は始まる。録音も弦楽器を主体としたオケ全体の響きが良くブレンドされたもので、コントラバスのピチカートも深く響く。時折り遠くから聴こえてくるオーボエやホルンの音色も滋味にあふれていて素晴らしい。アンサンブルなどの機能面や、凄み迫力といった点ではベルリンフィルのようにはいかない。しかし、これこそがブラームスだと合点するのだ。第2楽章の終盤、弦が副主題をトゥッティで奏し、その後オケ全体で盛り上がるひと節がある。ブラームスの4番を聴く醍醐味の半分はこの部分とぼくは思っている。イッセルシュテットはここでたっぷりと弦を鳴らすのだが、といって全開にはならない。バーンスタインやバルビローリだとここぞとばかりに歌うところだ。第3楽章も快調に、しかしバランスを崩さずに進む。そして終楽章。イッセルシュテットはここへ来てようやくオケを少しドライブするかのように力を込める。がしかし決して騒がない。音楽は節度を持って進み、かつ何かが不足する感じはしない。フォルテシモでも爆発せず、絶頂に達しそうで達しない。鬱々と逡巡する。しかし、そんなところこそが渋いブラームスに相応しいと思うのだがどうだろう。


北ドイツ放送交響楽団は現在NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団という名称になっている。首席指揮者トーマス・ヘンゲルブロックとの演奏。第1楽章冒頭に導入句を付した版で演奏している。この導入句はブラームス自身が一旦書き加えたものの、最終的には盛り込まれなかったというもの。 第1楽章冒頭に注目。


イッセルシュテットがBBC交響楽団と残したライブ音源。1971年。



■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

スウィトナーのブラームス第三



紅葉前線も山合いから下りてきて、当地周辺市街地も美しく色付き始めた。


202011_fall.jpg


深まる秋…というわけで、やはり今夜はブラームスだ。ぼくら世代にはお馴染みのこの盤を取り出した。

202011_JB3_Suitner.jpg


ブラームスの交響曲第3番ヘ長調。オトマール・スウィトナー(1922-2010)指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団による演奏。1985年8月ベルリン・イエスキリスト教会での録音。手持ちの盤は十年程前にリリースされたキングの廉価盤シリーズ中の一枚。悲劇的序曲がカップリングされていて、こちらはギュンター・ヘルビッヒ指揮ベルリン交響楽団による1977年録音。

80年代N響との印象があるのか、スウィトナーというとすべてに中庸で、もう一つピリッとしないという、ネガティブな印象もあったのも事実だが、こうして手兵SKBとの演奏を聴くと、ベートーヴェンにせよシューベルトにせよ、そしてこのブラームスにせよ、やはり伝統を背負った重厚かつスケールの大きな演奏だと再認識する。

この第3番も第1楽章冒頭からやや遅めのテンポと深いアインザッツで、重厚かつ渋い響きの演奏を展開する。弦楽群は完全なピラミッドバランスで、コントラバスの低音も実に雄弁だ。管楽器群も決して突出せず豊かな残響の中で弦楽群と溶け合う。昨今の運動性能のよいオケと高解像度な楽器バランスとは正反対。いずれがベストかは一概に結論付けられないが、一時代を画したブラームスの典型的表現として、スウィトナーの演奏は十分に価値あるものだ。もちろん第2、3楽章の歌、第4楽章の高揚感も素晴らしい。ぼくはブラームスの交響曲には十代の終わり頃から親しみ、いささか食傷気味に感じることもあるのだが、いざ聴き始めると、その魅力に引きずり込まれる。とりわけこの第3番は聴くたびにその美しさに心打たれる。


懐かしいスウィトナー&N響との演奏で第1楽章。SKBとの録音から4年後の1989年のもの。この年が最後の来日となった。SKBとの録音では繰り返している提示部は、この演奏では繰り返しはなく、3分30秒から展開部へ入る。


万感胸に迫る第3楽章。


この曲の第3楽章は様々にアレンジされているが、フランク・シナトラによる歌唱<Take Me Love>は中々うまくいったケースだ。



■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

チョイと宅録 佐藤弘和「音楽のおもちゃ箱」より



少し前に佐藤弘和「音楽のおもちゃ箱」の紹介兼ねて1曲アップしたが、きょうはその続き。


202011_Works_of_SatoHirokazu.jpg


写真は近年、現代ギター社から発刊された佐藤弘和氏の作品集だ。佐藤氏が50歳の若さで亡くなったのが4年前、2016年の暮れだった。佐藤氏の楽譜は以前、ホマドリーム社から多く出版されていたが、同社の事業が停止となってから、その行方が心配されていた。幸い現代ギター社によって以前の出版譜の多くが復刻され、またいくつかの新しい楽譜が立て続けに出てきて、胸を撫でおろした輩も多いのではないだろうか。

写真の4冊はおおむねアマチュア初級から中級レベルを想定したと思われる内容。中では「青空の向こうに」が少し難易度が高い曲が並んでいる。いずれも見開き1ページか2ページの小品で、楽譜をサッと開いてサクサクと弾いて楽しむには絶好の曲集だ。

ひと昔前まで初級者向けの小品というと、19世紀古典ギター全盛期のカルリ、ジュリアーニ、ソルなどの作品、下って19世紀末から20世紀初頭のタレガ他のロマン派スタイルの小品と相場が決まっていた。それらの作品の良さも価値も十二分に認識しているつもりだが、現代の新しい感覚でギターに向かう、特にクラシック音楽そのものに格別の関心がない層にとっては、そうしたかつての曲が「つまらない」ものと感じられ、やがてギターから離れてしまうケースがあることも理解できる。佐藤作品はそんな状況に対する得難い処方箋にように感じる。ド素人のぼくなどが論評する立場ではないが、佐藤氏の作品に登場する多くのフレーズ、和声、展開は、現代の世に同様のサンプルがあふれている「よく耳にする」ものが多い。それをギターという制約の多い楽器で、しかも初心者向けに限られた技巧レベルの範囲で実現しているところが、一連の佐藤作品とくに小品群の素晴らしいところだと思う。

今回は今年初め2020年1月に出た「音楽のおもちゃ箱」から3曲を選んで録音してみた。いずれも1分前後の小品。初級者が少しトライすれば演奏できる技巧レベルながら、今風の響きが織り込まれ、十分楽しめる作品になっている。


「愛の歌」
開放弦の響きを生かし、少ない音数ながら和声の移ろいを感じて楽しめる。


「アルバムの綴り」
初級者には少し練習が必要かもしれない。この曲も開放弦の余韻を生かしたアルペジオにのせて、ごくシンプルなメロディが流れる。


「ブルーベリー・ワルツ」
現代版「金鳳花ワルツ」といった感じ。



■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

ワルターのブラームス第四



11月初旬。このところの朝夕の冷え込みで、関東北部の当地でも公園や道々の街路樹が色付き始めた。深まる秋…とくれば、取り出すのはこんな盤しかないだろう。


202011_JB4_Walter.jpg


ブルーノ・ワルター(1876-1962)指揮コロンビア交響楽団によるブラームス交響曲第4番ホ短調。手元にはオデッセイレーベルの輸入盤と国内プレスの全集盤LPとがあるのだが、きょうは米オデッセイ盤をターンテーブルにセットした。1959年録音。

ブラームスの魅力は何だろうと考えてみるに、今どきこんな言い方はクレームが付くかもしれないが、それは「男の音楽」という感じがしてならない。それも、マッチョで逞しい男のそれではなく、どこか優柔不断で煮えきらず、なおかつナルシーで…そんな男の詠嘆とあきらめに満ちているように感じる。とりわけこの第4番はその代表かもしれない。 分厚く重厚な響きながら、どこか弱さが同居する。古典的なかっちりした構成でありながら、どうしようもないロマンティシズムがこぼれ落ちる。そういう意味では、ヴァントのようにまったく隙を感じさせない演奏よりは、腑抜けにならない程度にロマンティシズムに寄った演奏の方が相応しいだろうか。ワルターの演奏はその路線にぴたりとはまる。ニューヨークフィル時代の快速で熱気あふれるブラームスも名演だが、彼のために用意されたコロンビア響との晩年の録音セッションも捨てがたい。取り分けこの4番は素晴らしい。テンポは終楽章が少し遅めのほかは中庸、フレーズはいずれも明確かつ自然で、美しく歌い抜かれる。これで音色が暗いと少々滅入るのだが、幸い音は明るく、この曲を悲観ばかりで終わらせない。コロンビア響はやや小型の編成の急ごしらえで、団としてのアンサンブルにも難があったといわれる。確かに、この録音を聴いてもそういう面を指摘できるだろう。しかし集められた団員達は巨匠ワルターの録音を一つでも多く残そうと思い、最善を尽くしたに違いない。そうした光景を思い浮かべながら、通常はテンポを上げて煽るように終わる終楽章のコーダで、後ろ髪を引かれるようにテンポをグッと落とすこのワルター盤を聴いていると、これぞブラームスという思いに至る。


この盤の音源。全4楽章。


アンドレス・オロスコ=エストラーダ(1977-)とhr交響楽団による2017年の演奏。



■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

朝練!



<急告追記>
FM放送J-WAVEで明日土曜日8:00PM、村治佳織がパーソナリティを務める『クラッシーリビング」という番組で、ゲストに小原聖子さんが出演されるとこと。我々世代には懐かしい、初代クラシックギターアイドル(^^) 楽しみにしよう。

もう一つ…
恵比寿のギターショップ:カリスが閉店することになった。店主の高矢さんは私と同年代。穏やかなジェントルマンでギターもお上手だった。オルディゲスはカリスで買い、委託販売他でも何度かお世話になった。毎月アマチュアが集う店内コンサートをやっていて私も誘われていたが、叶わぬままに閉店。諸事情あってのことのようだか、とても残念だ。12月初旬まではまだ営業とのこと。近々お邪魔してみようか…

さて、実は訳あって少し前から生活リズムを朝型に変えた。元々ラジオの深夜放送に聴き入っていた半世紀前から典型的な夜型で、学生生活を終えて就職先を決める際には、夜勤専門の会社にしようかと冗談交じりながら考えたものだ。 朝型へのシフトは意外にスムースで、日付が変わる前に床に就き、朝5時過ぎに目覚ましをセット。以前に比べると1時間から1時間半程度のシフトだ。その結果、出勤前に少々時間が取れるようになり、それではと、ギターの朝練を始めた。


202011_Carcassi_Etudes.jpg


202011_Carcassi_6Caprices.jpg202011_Carcassi_25Etudes.jpg


そうはいっても慌ただしい朝に変わりはなく、じっくり練習というわけにはいかない。30分程の時間を確保し、もっぱら両手の運動性能維持だけを目標とすることにした。譜読みや曲想を練るという時間を排して、もっぱらメカニックに指を動かす。教材としてはカルカッシのエチュードを選択。数年前に出た佐藤弘和編「原典版カルカッシ25のエチュード」を開き、特にこれまであまり弾いていなかった20番以降の曲をさらうことにしている。それと、佐藤弘和編「原典版カルカッシ25のエチュード」には同じカルカッシの作品26「6つのカプリス」が収められていて、これが指慣らしのアルペジオ練習にはちょうどよく、併せて練習メニューに加えている。

洗面を済ませ、身支度を整えたところでギターを取り出し、まずは「6つのカプリス」でアルペジオの練習。和声と低音の動きを確かめるようにゆっくりと弾き、ついでほぼ指定のテンポ、そしてやや加速して…といった具合に弾き進める。いつもは第1番ハ長調の右手pimaパターンの曲だけで終わることが多い。アルペジオで指が目を覚ましたら作品60の練習曲へ移る。最近はもっぱら最後の3曲を、やはりテンポを変えて弾く。本来ならスケール練習が必須だろうが、アルペジオが苦手という個人的理由で、スケール練習は時間の余裕があればということにし、優先度を下げている。そんなことをしていると30分はあっという間。時計の針が7時を指したところで朝練終了。仕事へゴーとなる。


ある朝のモーニングルーチンを抜粋再現してみた。まずアルペジオを定速→やや加速で弾く。次いで作品60の第23,24,25番。これらの3曲はイ長調・ホ長調における跳躍を伴なったポジション移動の練習が主眼となる。楽譜から目を離していないので、あちこちで押弦ミスがあるがご容赦のほどを。pimaの単純アルペジオもホント苦手だ。最後は家人から声がかかってサドンデス!。


作品60「25の練習曲」中、もっとも美しい曲想の一つ第24番イ長調。特にコーダ風の終盤フレーズは実にロマンティックだ。カルカッシも捨てたものではない。この演奏では2分58秒から始まる。アニードが絶賛した名手エドソン・ロペス氏の演奏。


楽譜は以下はBoijeコレクションを参照。
カルカッシ「25の練習曲」
http://boijefiles.musikverket.se/Boije_0094.pdf

同 「6つのカプリス」
http://boijefiles.musikverket.se/Boije_0091.pdf



■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

ラヴェル 弦楽四重奏曲ヘ長調



文化の日。終日在宅。身辺野暮用で日が暮れる。深まる秋の夜。きょうはこんな盤を取り出した。


202011_Ravel_SQ.jpg


ブダペスト弦楽四重奏団によるモーリス・ラヴェルの弦楽四重奏曲ヘ長調。1957年録音。仏物のお約束通りドビュッシーとのカップリング。これも十数年程前にネットで箱買いした数百枚の中に入っていたもの。70年代前後の盤と思われるSX68サウンドのマークが懐かしい。

牧歌的な主題が歌われる第1楽章。1stヴァイオリンとヴィオラで奏される第2主題はとりわけ美しい。闊達な第2楽章。夜のとばりにささやくような第3楽章。8分の5拍子という珍しいリズムをベースに時折5/4、3/4を折りまぜて進む第4楽章。フランクゆずりの循環形式をさり気なく使い、いずれの楽章にも第1楽章の主題が回顧される。幾多のピアノ曲をはじめとして、現代に通じる美しい和声の曲を残したラヴェルだが、このカルテットは中でも傑作の誉れ高い。ぼく自身はフランス音楽にはまったく不案内だが、こうして久々にこの曲などを聴くと、その革新性や今日につながる現代的和声感に心打たれる。

カフェでも居酒屋でも、今どき軽いジャズを流して「オシャレ~!」と気取るが、ラヴェルの弦四などをさりげなく流している店があったら、それこそ最高にオシャレだ。


この盤の音源。全楽章


ハーゲンSQによる第3楽章。美しい!


スコア付き音源。ABQによる演奏だそうだ。



■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

カレンダー
10 | 2020/11 | 12
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
月別アーカイブ
QRコード
QR
閲覧御礼(2010.10.01より)