ワルターのブラームス第四



11月初旬。このところの朝夕の冷え込みで、関東北部の当地でも公園や道々の街路樹が色付き始めた。深まる秋…とくれば、取り出すのはこんな盤しかないだろう。


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ブルーノ・ワルター(1876-1962)指揮コロンビア交響楽団によるブラームス交響曲第4番ホ短調。手元にはオデッセイレーベルの輸入盤と国内プレスの全集盤LPとがあるのだが、きょうは米オデッセイ盤をターンテーブルにセットした。1959年録音。

ブラームスの魅力は何だろうと考えてみるに、今どきこんな言い方はクレームが付くかもしれないが、それは「男の音楽」という感じがしてならない。それも、マッチョで逞しい男のそれではなく、どこか優柔不断で煮えきらず、なおかつナルシーで…そんな男の詠嘆とあきらめに満ちているように感じる。とりわけこの第4番はその代表かもしれない。 分厚く重厚な響きながら、どこか弱さが同居する。古典的なかっちりした構成でありながら、どうしようもないロマンティシズムがこぼれ落ちる。そういう意味では、ヴァントのようにまったく隙を感じさせない演奏よりは、腑抜けにならない程度にロマンティシズムに寄った演奏の方が相応しいだろうか。ワルターの演奏はその路線にぴたりとはまる。ニューヨークフィル時代の快速で熱気あふれるブラームスも名演だが、彼のために用意されたコロンビア響との晩年の録音セッションも捨てがたい。取り分けこの4番は素晴らしい。テンポは終楽章が少し遅めのほかは中庸、フレーズはいずれも明確かつ自然で、美しく歌い抜かれる。これで音色が暗いと少々滅入るのだが、幸い音は明るく、この曲を悲観ばかりで終わらせない。コロンビア響はやや小型の編成の急ごしらえで、団としてのアンサンブルにも難があったといわれる。確かに、この録音を聴いてもそういう面を指摘できるだろう。しかし集められた団員達は巨匠ワルターの録音を一つでも多く残そうと思い、最善を尽くしたに違いない。そうした光景を思い浮かべながら、通常はテンポを上げて煽るように終わる終楽章のコーダで、後ろ髪を引かれるようにテンポをグッと落とすこのワルター盤を聴いていると、これぞブラームスという思いに至る。


この盤の音源。全4楽章。


アンドレス・オロスコ=エストラーダ(1977-)とhr交響楽団による2017年の演奏。



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