さよなら!カリス



東京・恵比寿のギターショップ「カリス」閉店の報に触れたのが今月初め。ここ数年、何度かお世話になっていたこともあり、閉店までに一度お邪魔しようと思っていた。折よく先日アポも取れ、都内での仕事を終えたあとに訪問することができた。


試奏する同行したおうどんさんと高矢店長
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少し前にこのブログにコメント寄せてくれたギター愛好家ハンドルネーム「おうどんさん」とひょんなことで意気投合し、一緒にいかが?と速攻ネットナンパ。カリスの入っているマンション前で待ち合わせとなった。「初めまして」の挨拶もそこそこに店内へ。いつも通り店長高矢さんが迎えてくれた。

閉店の報が流れてからそれほど時間は経っていないが、その前後から在庫整理も進めていたようで、楽器や備品類も大方片付き、店内はガランとした様子。閉店当日というわけではないが、さすがに寂しさが募る。持参した当地群馬伊香保温泉の温泉まんじゅうを頬張りながら、高矢さん、おうどんさん、私、そして高矢さんの奥様も交えてしばし歓談。こんな時間ももう持てなくなるのかと、妙にしんみり。

店内を見回しながら感慨にふけっていると、高矢さんがおもむろに立ち上がり、ギターケースを開けて1本のギターを取り出した。「はい、どうぞ」と高矢さんが差し出したのは、かのロベール・ブーシェ作のギター。同行のおうどんさん、私共に思わず「おおっ!」と半身をのけぞりながら叫んでしまった。訪問の日時について高矢さんと連絡を取っていたとき、「ブーシェがあるので弾いてみて下さい」と聞いていたのだ。

オーラ全開のブーシェギターの有り様については、「次世代を担うギター試奏アナリスト」おうどんさんが早速ブログにアップしているので、そちらを参照されたい。ぼくの印象を手短に言うと…兎も角すべての音が太く強いパワーをもって鳴り、胴鳴りを伴なう豊かな響きを持ちながらも、単音も和音も曖昧なところがない。タッチに対するリニアリティ、音色変化へ対応など、コンサートギターとして備えるべき要素に対しておよそ死角がない…そんな印象を受けた。ブーシェギターはこれまでに数回弾いたことがある。特に一昨年アウラでみた初期の作品は、トーレスを志向したスパニッシュな味わいが色濃い素晴らしいものだった。今回の個体はそうした初期の段階を過ぎ、後期まで続くブーシェスタイルの完成形で、音はもちろん物理的な状態も含めて、圧倒的に優れた個体だと断言できる。貴重な機会を提供してくれた高矢さんには感謝しかない。


店内在庫放出中。この日の戦利品!!
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ブーシェと前後して岩田博行2016年作のギターも試奏。こちらは以前一度弾いているが、そのときの印象を上回る好印象。別格のブーシェを弾いたあとでも、劣らない存在感を感じさせる素晴らしいギターだった。

カリスは12月初旬まで営業中。店内には楽譜・書籍・CD・備品類がまだ残っていて廉価放出中だ。この日も何点か破格値で分けてもらってきた。出来れば近々もう一度訪問してサルベージしたいと思っている。 どの世界でも自分が慣れ親しんだショップの閉店は寂しい限りだが、諸事情あってのことでやむを得ない。ぼくとほぼ同年代の高矢店長はまだまだ別の分野で活躍されることだろう。また縁があればよろしく。そしてナンパに応じてくれたおうどんさん。また機会作って会いましょう。


プーランク「愛の小径」カリス店長高矢さんとヴァイオリン相方との演奏。原曲の変ニ長調(D♭)を高矢さんがギターに適したニ長調に移した版での演奏。


ピアソラ「タンゴの歴史」 高矢さんはアコギでギターパートを…この手があったか!



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音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

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