シルベストリのチャイコフスキー第四



令和二年師走十二月。
年頭からコロナ禍であたふたし気付けば師走。身辺雑事に追われ季節感のない日々だが、暦通り冬も到来だ。英国の作曲家フレデリック・ディーリアスの管弦楽曲に「春を告げる郭公(春初めての郭公を聴いて)」という曲があるが、ぼくにとっての冬を告げる曲として、こんな盤を取り出した。


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チャイコフスキーの交響曲第4番ホ短調。ユニークな爆演型指揮者として有名なコンスタンティン・シルベストリ(1913-1969)とフィルハーモニア管による録音。手持の盤はかれこれ20年近く前に出たCD2枚組の輸入盤で4~6番の3曲が収められている。録音は1957年。

この曲を知る人なら、プレイヤーのプ再生ボタンを押し、冒頭のファンファーレが鳴り響いた次の瞬間、腰を抜かすほど驚くだろう。2拍目の裏にある3連符と3拍にある2つの8分音符のアーティキュレーションがまったく独自なのだ。 もちろん4分の3拍子の譜割りには従っているのだが、3連符が3拍目にくい込み、3拍目の2つの8分音符が寸詰まり状態になっているといえばいいいだろうか。こんな音価の演奏は他では聴いたことがない。1964年に来日してN響を振ったときも、この独自の音価で演奏したようだから、よほど信念があってのことだろう。 しかし、その冒頭のファンファーレのエキセントリックさを除けば、この演奏は大そうロマンティックかつ熱気を帯びていて素晴らしい。第2主題に入るとぐっとテンポを落として、切々と歌い上げる。第2楽章も弱音部を効果的に生かしていて冬のイメージであるチャイコフスキーのロシアの空気を感じさせる。終楽章もよくコンロトールされていて、爆演型のハチャメチャというわけではもちろんない。第1楽章冒頭の妙な譜割りのテーマが回顧され、そこからコーダに入って最後のコードが鳴り終わるまでの熱の入った加速には思わず身体が乗り出してしまう。録音状態はピアニシモ部分では空調ノイズのような暗騒音が少し高いレベルで聞こえるものの、オケの響きは充実していて、マスの響きもよくとらえられ悪くない。

シルヴェストリは生前、「演奏は生き物で、同じ曲でもそのときどきによって表現が変る」と語っていたそうだ。残されたチャイコフスキーやドヴォルザークなどの録音はそんな彼の面目躍如たる、ワンアンドオンリーの演奏だ。


この盤の音源。全4楽章。
冒頭のファンファーレにびっくりしたなぁモォ~!だが、それ以外は実にロマンティクかつ充実した響きの名演。


1964年に来日しNHK交響楽団を振ったときの映像。



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