今年も年末三点セットでGo!



さて師走に入って一週間。年の瀬の気配もまだ希薄だが、きょうは恒例の年末三点セットで一気に師走モードへ自らを駆り立てよう。以前からこの与太ブログにお付き合いいただいている輩には、またその話かと、うんざりされそうだが、マンネリもときに大切。年に一度のことゆえ、どうかご容赦を。さて、本ブログのローカルルールにて年末の三点セットとは以下のものを指す。

・ベートーヴェン;交響曲第九番ニ短調
・三波春夫;長編歌謡浪曲<俵星玄蕃>
・早明ラグビー

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まずは第九だ。今宵は本命フルトヴェングラーを取り出そう。フルトヴェングラーの第九は様々な音源のものが出回っているが、今日まで広く定番として親しまれていたバイロイト盤(1951年バイロイト祝祭管弦楽団とのライヴ)LPに針を落とすことにした。写真のジャケットはぼくら世代にはお馴染みだろう。
第1楽章は<雄渾>という形容詞の説明サンプルといいたくなるような演奏だ。18分近くかけてじっくりと腰を据えて進むテンポ、深く沈みこむピアニシモ、低い重心から力強く立ち上がるクレッシェンド…この盤を聴くのは久しぶりだが、やはり素晴らしい。第九と聴くとこの第1楽章だけを繰り返し聴きたくなるほどだ。第2楽章のスケルツォはややテンポを上げて畳み込むようなスリリングな展開を聴かせてくれる。そして第3楽章のアダージョでは再び瞑想的な深みのある展開で、何と19分余をかけてこの楽章を歌いぬく。ここまで聴くと合唱入りの第4楽章がオマケとさえ思えてくる。



さて三点セットの次は三波春夫の長編歌謡浪曲<元禄名槍譜 俵星玄蕃>。
御存知の通り、三波春夫の芸能活動は浪曲師として始まった。歌謡浪曲というジャンルを作り出し名曲を生み出したが、その中でこの「俵星玄蕃」は曲の構成、歌唱部分の馴染みやすいメロディー、ドラマティックな語り部分と歌唱部との絶妙なブリッジなど、最高傑作と言ってよい。10分近くに及ぶ歌謡曲としては異例の規模。曲のクライマックス…雪を蹴立てて、サク、サク、サク、サク、サク、サク、「先生~!」「おぉ~そば屋かぁ~」のくだりは、当時忠臣蔵のあらすじも何も知らない田舎の高校生であったぼくの記憶の奥底に刻まれた。そんなことを思い出しつつ、リサイクルショップのジャンク箱から捕獲してきたLP盤に針を下ろそう。
まず何より三波春夫の口跡(今風に言うと活舌/滑舌か)が素晴しい。浪曲で鍛えたというよりは天性のものだろう。出だしの静かな語りの導入部は浪士達が主君を思って耐え忍んだ月日をそのまま表現しているかのようだ。中盤の浪曲調、山鹿流陣太鼓の一打ち、二打ち、三流れ…ストラビンスキーばりの変拍子で始まり、クライマックスに向けて「時は元禄十五年十二月十四日…」と畳み掛ける講談調、いずれも明快な語りと抑揚が素晴らしい。そして「先生~!」「そば屋かぁ~」で興奮はピークになる。3つの歌唱部分を間に挟んで語りでつなぐ構成もオペラの演奏会形式上演のようだ。スコアの指示はMaestosoに違いないと思わせる最後の歌唱部分は浪士たちの堂々たる歩みをたたえるようでグッとくる。



三点セットの最後は毎年12月第1日曜日に行われる関東大学ラグビーの早明戦だ。早稲田が<心の母校>であるぼくにとって、年に一度、唯一テレビの前に陣取ってスポーツ観戦する日。昨年2019年のワールドカップで大いに盛り上がったラグビー。しかし80年代のラグビーは今より数段面白かったように思う。ひたすら前へ出る<重戦車軍団>の北島・明治、それを悲壮感あふれるタックルで食い止め一瞬の隙をつく展開でトライを奪う<ゆさぶり>の早稲田。幾多の名勝負を残したが、中でも印象深く歴史に残る1987年雪の早明戦。小兵スクラムハーフ堀越、2年生FWにはのちに監督になった清宮。ノーサイド直前、ゴール前のペナルティキックでゴールを狙わず執拗に押し込む明治、守る早稲田…。 80年代後半の早明戦は思い出に残る名勝負がいくつもあった。12対24の劣勢から後半終了間際に追いつき、今泉のトライ(とそのあとのゴール)で同点に追いついた試合も記憶に残る。



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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