ベートーヴェン序曲集



十二月も半ば。少し前から身辺諸事情あって公私ともに慌ただしい。年末進行というような業種ではないが、今月末納期の案件が際どいデッドラインで進行中。予断を許さない状況だ。本日も居残り仕事少々で帰宅。ひと息ついて…さて、ちょっと気合を入れようかと、こんな盤を取り出した。


202012_Cluytens_LVB_Overture.jpg


アンドレ・クリュイタンス(1905-1967)の指揮するベルリンフィルによるベートーヴェンの序曲集。ぼくら世代のクラシックファンには懐かしいセラフィムレーベルの廉価盤。久しぶりに取り出してみたら、まだパッケージのフィルムもそのままで新品かと思うほど。もちろん手に入れた当時はしばしば引っ張り出して聴いていたから、手付かずできれいなわけではない。盤面も状態良好で、オルトフォンSPUでトレースするその音もいまだにフレッシュだ。収録曲は以下の通り。1958~60年の録音。

Side_A
《レオノーレ》 序曲 第3番 作品72b
劇音楽《エグモント》 序曲 作品84
Side_B
歌劇《フィデリオ》 序曲 作品72c
バレエ音楽《プロメテウスの創造物》 序曲 Op.43
劇音楽《アテネの廃墟》 序曲 作品113
《コリオラン》 序曲 作品62

今も昔もクリュイタンスとベルリンフィルによる一連のベートーヴェン録音について語られるとき出てくるのは「初期の作品や偶数番号の曲にその良さが表れている…」というコメントだ。実際この序曲集と前後して手に入れたこのコンビの盤は第1番と第2番のカップリングだった。その後、他の番号曲も聴くようになってから、どうやらそうしたコメントはいささかステレオタイプなもので、奇数番号曲も劣らず素晴らしい演奏だと分かってきた。偶数番号=古典的な様式感と均整の取れた構成、奇数番号=革新的で豊かな感情の表出、といった前提があって、それとクリュイタンスの資質に当てはめたことによるのだろう。それもあながち間違ってはいないだろうが、虚心にこのコンビの演奏に耳を傾けてみれば、奇数番号のいかにもベートーヴェンらしいとされる曲想にも、スケールが大きく、かつ、しなやかな響きで、それらの曲の魅力を表出していることを実感するはずだ。

この序曲集は交響曲全曲録音と併せて録られたものだが、演奏も終始一貫してベルリンフィルの重厚ながらもしなやか音がステレオプレゼンスいっぱいに展開され、申し分のない出来だ。合奏の縦の線を合わせることにはほとんど関心がないのか、今風のアンサンブル精度優先の演奏からみると、ベートーヴェンの厳しさが出ていないといったそしりを免れないのかもしれないが、おそらく当時のベルリンフィルのアンサンブル流儀だったのだろう。しかし聴こえてくる音楽は、そうした精度の優劣をまったく感じさせないもので、渋さと艶やかさを兼ね備えた弦楽群やオケ全体の響きにブレンドされる木管群など、唯一無二の響きの圧倒される。


この盤の音源で「エグモント」序曲


同じくバレエ音楽「プロメテウスの創造物」 序曲。第1交響曲の出だしと類似した和声進行で始まる。


同 「コリオラン序曲」



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