ベートーヴェン交響曲第3番変ホ長調「英雄」
カレンダー通り、きょうから仕事復帰。いつも通りの業務をこなして帰宅。ひと息ついて…さて、新年が明けて最初に聴く盤は何にしようか…多くの音盤愛好家が思い抱くテーマだろう。しばし考え、確か去年もと思い出し、令和三年の「三」にちなんでこんな盤を取り出した。

数年前に出た指揮者エルネスト・アンセルメ(1883-1969)の録音を集めたボックスセットのうち<The Great European Tradition>と名付けられたセット。フランス音楽集、ロシア音楽集はその名の通りのセットだが、この<The Great European Tradition>はさしずめ<その他欧州編>とでもいうべきもの。バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス等の独墺系の他、ファリャやアルベニスといったスペイン物や、レスピーギ、ロッシーニ、ショパン、シベリウス等を含む。きょうはその中から、令和三年にちなみベートーヴェンの交響曲第3番が入ったディスクを取り出した。オケはもちろん手兵スイスロマンド管弦楽団。1960年録音。
フランス、ロシア物のスペシャリストというイメージが強いアンセルメとその手兵スイスロマンド管(OSR)だが、ドイツ物もいくつかの注目すべき録音を残している。ベートーヴェンとブラームスの交響曲全曲と序曲等はその代表。特にブラームスはアルトラプソディーとドイツレクイエムも残している。ベートーヴェン、ブラームス共、以前から様々な評価がある録音で、ぼくも少し前からYOUTUBEで聴いて興味をもっていたもの。このセットでようやく正規の音盤を聴くことが出来た。
立派なベートーヴェン!それが最初の印象だ。
第3番変ホ長調<英雄>も出だしの和音からして明朗で開放的な響き。第1楽章展開部に入ると木管群と弦楽群のやり取りが明快なコントラストによって見事に描き分けられる。通常なら弦も管もマスの響きで押してしまいがちだが、この演奏は豊富な色彩感とコントラストで進む。第2楽章葬送行進曲の中間部、フーガとなる箇所ではテンポを落としてじわじわと盛り上げていく演奏が多いが、アンセルメはここでテンポをわずかに上げるという手法を採り、さらにその終盤ではトランペットの強奏が、まるで最後の審判を告げるかのように延々と鳴り続けて驚いた。
このコンビに対するネガティブな評価として、アンサンブル(縦の線の合い具合)や管楽器群の音程に対するコメントをよく見かける。確かに重箱の隅をつつくように耳をそばだてればそうした指摘も可能だろう。しかし今から半世紀以上前にこれだけコントラストが明瞭で、各パートの役割の面白さを実感できる演奏を実現していたことをもって、そうした指摘は十分帳消しに出来ると感じるのだがどうだろう。
この盤の音源。第3番変ホ長調の全楽章。第2楽章フーガは21分48秒から。そのあと23分55秒過ぎからも注目。トランペットの強奏に驚かないように!
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