G・セルののシューマン第3番交響曲「ライン」
令和三年にちなんで「三」しばりの音盤タイム。先回のシューマン交響曲第3番のチェリビダッケ盤で思い出し、きょうは対照的とも言えるこの盤を取り出した。

ジョージ・セル(1897-1970)指揮クリーヴランド管弦楽団によるシューマンの交響曲第3番変ホ長調「ライン」。数年前にセルの録音が少しまとまって出た際に手に入れたもの。シューマンの交響曲4つと序曲が2つ。マンフレッドとウェーバーの序曲「オベロン」が入っている。1958年から1960年にかけての録音。オベロンのみ1963年。意外にも全曲がCD化されたのはこのときが初めてだそうだ。
セルはとりわけシューマンの交響曲に思い入れが強かったとライナーノーツに記されている。在欧中はもちろん、セントルイス響でのアメリカデヴュー、トスカニーニの招きでNBC響を指揮したとき、そしてもちろん長らく手兵となったクリーヴランド管との24のシーズンのうち19で、いずれもシューマンと取り上げたそうだ。
かねてよりその評判は聞いていたが、この盤に接して期待に違わぬ素晴らしい演奏であると納得した。以前FMか何かで聴いたときの印象に比べると、最新のマスタリングも奏功しているのか音質も素晴らしい。先ほどから第3番「ライン」を聴いているが、第1楽章冒頭からいつも通りの引き締まった響きと明確なフレージング、そして鉄壁のアンサンブル。よく問題が多いと指摘されるシューマンのスコアだが、セルの手にかかるとそんな気配は微塵もない。そして各パートが実によく分離して曲の成り立ちが手に取るように分かる。冒頭少し過ぎたあたりで、弦楽群とホルンが少し譜割りをずらして呼応する箇所など、この演奏で始めてその効果を納得した。
シューマンの交響曲をドイツ的とばかりに、うっそうとした森のイメージよろしく深々とした響きと少々曖昧模糊とした音の塊で表現する演奏もある。それはそれでうまくいくと中々魅力的ではあるのだが、こうしてセル&クリーヴランドの演奏を聴くと、やはり神髄はこちらだろうと確信する。今更ながらのセル&クリーヴランド。やはり素晴らしいコンビだった。
この盤の音源。上記記事中で指摘した弦楽群とホルンの掛け合いは1分3秒過ぎから数秒間のフレーズ。1分25秒過ぎから木管のブリッジを経て1分35秒過ぎあたりからの低弦群の動き…、展開部に入り3分14秒過ぎからの木管群と低弦群の呼応…この第1楽章はまったく息を付く間もないほどの緊張と解決が続く。
マレク・ヤノフスキ―指揮hr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)による同曲。
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