チャイコフスキー:管弦楽組曲第3番ト長調作品55
正月気分も抜けて(そもそも無かったか…)、寒さもピークの一月半ば。引き続き「三」シバリで、今夜はこんな盤を取り出した。

チャイコフスキーの管弦楽組曲第3番ト長調作品55。例のアンセルメボックス:ロシア音楽編全33枚中のDisc1,2。
・チャイコフスキー:「くるみ割り人形」全曲 Op.71
・チャイコフスキー:管弦楽組曲第3番ト長調 Op.55
・チャイコフスキー:管弦楽組曲第4番ト長調 Op.61「モーツァルティアーナ」
という具合で、管弦楽組曲第3番はナッツクラッカーの続きと、組曲第4番と共にDisc2に収められている。何箇所かで顔を出すヴァイオリンソロはルジェーロ・リッチが弾いている。
チャイコフスキーの熱心なファンでも何でもないぼくにとって、管弦楽組曲はこのアンセルメ盤以外に手持ちはない(おそらく…)。つまり、ごく最近までこの曲をFM等で聴き流すことはあっても、まともに対峙して聴いたことはなかった。この曲の評価は様々あるようだが、こうしてあらためて聴いてみると中々立派な曲。少なくてもチャイコフスキーの個性は十二分に出ていて、楽しめる。
第3番は4つの楽章からなる。第1曲は<エレジー>の副題が付くが、エレジーというほどの悲痛さはない。甘口のセンチメンタルなメロディーと10秒と聴かないうちにチャイコフスキーと分かる管弦楽手法で作られている。第2曲<憂うつなワルツ>は、これもいかにもなチャイコフスキーのワルツ。第1曲<エレジー>よりもメランコリック度数は強いだろうか。第3曲はテンポを上げてスケルツォとなり、第4曲は主題と12の変奏曲から成る。どこかロココヴァリエーションを思わせる雰囲気。前半は型通りに調や楽器を変えた変奏で進むが、中盤以降は少し凝った構成となって、様々な管弦楽技法が繰り広げられ、最後はこれもまたチャイコフスキーらしい華麗なポロネーズで大団円となる。
アンセルメ&スイスロマンドのこの録音はアンセルメ晩年の1968年のもの。他の60年代録音とかなり音の録り方が違っていて、この録音は各楽器の音像が大きめかつ手前に張り出し、少々独自な音響イメージを提示する。年代的には少し古い50年代終盤から60年代中盤までの、自然な広がりを感じる録音に比べると、やや不自然さを感じるのだが、クレジットされている録音技師の名前が異なることから、担当したエンジニアの趣向が反映された音作りになっているものと思う。演奏の細部に聴き耳を立てると、技術的に少々怪しいところや、アンサンブルのカジュアルな部分が気にならないわけではないが、明快な音で起伏に富んだ演奏で悪くない。
手持ちの盤からアップした。管弦楽組曲第3番から第4曲:主題と変奏。
ロジェストヴェンスキー(1931-2018)指揮アイスランド交響楽団による演奏。ロジェストヴェンスキーといえば70年代のチャイコフスキー交響曲の録音が印象的だった。アイスランド響はナクソスから多くの盤を出ている。
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