バッハ管弦楽組曲第3番ニ長調BWV1068
きょうは都内で仕事。緊急事態宣言下の東京駅構内、丸ノ内・大手町界隈の人出は思いのほか多い。昨年春4月の、まるでゴーストタウンかと目を疑うような激減ぶりとはあまりに違う。かくいうぼくもその人出に加わっているわけで複雑な心境なのだが…。さて週末金曜日。しぶとく「三」しばりの音盤タイム。今夜はこんな盤を取り出した。

トレヴァー・ピノック指揮イングリッシュ・コンソートによるバッハ管弦楽組曲集。1978~79年録音。バッハの管弦楽組曲全4曲が収められていて、トレヴァー・ピノック(1946-)の盤歴としては初期のものにあたる。手元の盤はかれこれ20年近く前に廉価で手に入れた輸入盤CD。今夜は第3番を選んでプレイボタンを押した。
この曲を聴くのは何年ぶりだろう。本当に久しぶりだ。この曲に最初に触れたのは半世紀前の高校2年のときだった。クラシックギターを始めて1年程経ち、吹けば飛ぶような少人数の部活ではあったが、ギターアンサンブルでこの曲の第3曲ガヴォットを合わせて演奏会にのせたことがあった。そしてFM放送で曲全体を聴くに至り、次第にバッハの曲にも心惹かれるようになったことを思い出す。 この曲の演奏としては当時、重厚長大なカラヤン&ベルリンフィル盤が人気だったし、オーセンティックな演奏としてはリヒター盤がスタンダードだった。その頃すでにピリオドスタイルは世に存在していたが、多くの音楽ファンにピリオドスタイルのバッハを認知させたのは、この盤あたりだったかもしれない。
4つある管弦楽組曲のうちこの第3番は、トランペットとティンパニを加えた編成により響きが華やかで祝祭的気分に満ちている。第1曲のフランス風序曲はその付点音符によるリズムがピリオドアプローチによって一層際立ち、重厚な王の歩みというよりは。軽やかな王子のステップに聴こえてくる。G線上のアリアとして有名になった第2曲エアは清々しい響きの中にヴァイオリンソロが浮き立つ。第3曲ガヴォットと続くブーレはトランペットとティンパニが活躍。小編成とピリオドアプローチゆえの運動性能の良さが生き、溌溂として気分が明るくなる。終曲ジーグはもっと急ぐのかなと予想していると意外にも落ち着いたテンポで、各パートのやり取りや和声の移ろいもよく聴き分けられる。
それにしても、あらためて録音年を考えるとすでに40年を経ていることに驚く。気鋭の若手だったピノックもすでに70代半ば。ピリオドスタイルも市民権といった言葉以上に多様化し、進化を続けている。半世紀前の想い出に浸りながらも、こうしてまた新たな気分で新しい演奏に接していけることを素直に喜ぼう。
この盤の音源。管弦楽組曲第3番全曲(序曲・エア・ガヴォット1,2・ブーレ・ジーグ)
YOUTUBEチャンネルで意欲的なバッハ演奏を提供しているネザーランド・バッハ・ソサエティによる演奏。ここではトランペット、ティンパニ、オーボエを排した弦楽のみの編成をとっている。
同上 この演奏のメイキング
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