A.C.ジョビン「三月の雨」



月があらたまって令和三年弥生三月。区切りでは令和二年度の終わり。思えば今年度は終始コロナ禍に翻弄された一年だった。その影響未だ収束せず、ぼくの仕事も思わぬ余波で難儀している。残る数週間で何とかリカバリーして年度末を締めくくりたいところだ。…と、そんなことを思いつつ本日も業務に精励。8時を少し回って帰宅した。ひと息付きながら一服。三月…で思い出し、こんな盤を取り出した。


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ギタリストのリー・リトナー(1952-)が呼びかけて集結したオールスターキャストによるアントニオ・カルロス・ジョビンのトリビュートアルバム「Twist of Jobim」。1996年録音。収録曲は以下の通り。

おいしい水 /キャプテン・バカルディ/ジンジ/3月の雨/
ボニータ/ストーン・フラワー/ファヴェラ/チルドレンズ・ゲームズ/
ラメント/モハーヴェ/イパネマの娘/アンティグア/

このアルバムはボサノヴァの創始者といっていいジョビン・トリビュートではあるし、ボサノヴァの定番曲が収められているものの、純粋な(…という表現が適当かどうか分からないが)ボッサというよりは、軽いフュージョンあるいAORに近いテイストに仕上がっている。ボサノヴァを発祥の地ブラジル寄りに位置付けるか、50年代終盤以降アメリカに渡ってポピュラリティーを色濃くした、よりグローバルな音楽に位置付けるかの違いがあるだろうが、このアルバムは完全にアメリカの、それも西よりのそれだ。まあ、そんなことより「超」が付く一流プレイヤー達の肩の力が抜けた、それでいて完璧なプレイがこのアルバムの真骨頂。他の曲もジャズテイストの強いもの、スローロック調、ラテン色の濃いもの、いろいろなアレンジがなされているが、そのいずれもが「過ぎずに」いい感じの仕上がりで、大人の音楽になっている。

中でも人によってはボサノヴァの最高傑作と絶賛する「三月の雨」が聴き物だ。実際、このアルバムを取り出して聴こうというときには「三月の雨」だけを数回繰り返して終わりということさえある。オリジナルのジョビンや、エリス・レジーナとジョビンのデュエットと比べるとずっと洗練され、クリーンで清涼なミネラルウォーターのようなアレンジで、アル・ジャロウとオリータ・アダムスの歌いっぷりもピタリとくる。

灯りを落としたタワーマンション上層階のリビングルームで、冷えたスパークリングワインなどやりながら聴くには最高のチューンだ。…残念ながら、田舎の戸建の一室で下戸のオッサンが渋茶で一服…では絵にならない。


先年亡くなったアル・ジャロウ(1940-2017)とオリータ・アダムスが歌う「三月の雨」 ワン・ノート・サンバや松田聖子:ロンクンルージュなどと同様、一つの音を中心に上下するようなメロディーらしくないメロディをコード進行の妙で音楽に仕立てる仕組みの曲。この手法は古来クラシックの世界、とりわけロマン派の手法の一つとも言える。ショパン前奏曲4番やギター弾きならタレガの前奏曲イ短調などが思い浮かぶだろう。


1974年に出てヒットしたエリス・レジーナとジョビンのデュオ・ヴァージョン。


菊地成孔「三月の雨」を語る。


このアルバム全曲の再生リスト
https://youtube.com/playlist?list=PL8633AC31FDCAC018



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