玉三郎・仁左衛門@歌舞伎座
先月のことになるが、一年ぶりに歌舞伎座の舞台を楽しんで来た。

昨年はじめ何十年かぶりに歌舞伎の舞台に触れ、かつて親しんだその光景を再び目の当たりにし、やっぱりエエなあ歌舞伎…と思い立ち、さて毎月通うぞを意気込んだのも束の間、コロナ禍で公演中止が長らく続いた。昨年秋頃から徐々に公演が再開され、まだ変則的な三部構成ながら公演が続くようになった。

先月末、都内での仕事に向かったものの急な事情でキャンセルとなった。時計を見るとまだ昼を回ったばかり。このまま帰途につくか、さてどうしたものかと思案。その30秒後には地下鉄を乗り換え東銀座を目指していた。当月の第二部で玉三郎と仁左衛門の舞台があることは先刻承知していて、何とか時間が取れれば観たいなあと思っていたのだ。第二部の開演は14時過ぎから。電話で問い合わせると当日券も僅かながらある様子。迷う要素はなかった。
まずは鶴屋南北の「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)」。通称「お染の七役」として知られる演目。今回はその中から「悪婆」と呼ばれる役柄の土手のお六と鬼門の喜兵衛の悪党夫婦が活躍する二場が取り上げられた。お六(坂東玉三郎)と喜兵衛(片岡仁左衛門)の悪党コンビが油屋から金をゆすり取ろうという魂胆の芝居。あだな姿の玉三郎のお六と、悪党ながらも色気のあるに仁左衛門の喜兵衛はやはりはまり役だ。寺嶋しのぶの長男眞秀君の姿を見るのも昨年に続け今回で二回目になる。

休憩をはさんで舞踊「神田祭」。鳶頭の仁左衛門と芸者姿の玉三郎はかつてよく歌舞伎通っていた頃、往時の「孝玉コンビ」を思い出させる。仁左衛門は70代後半、玉三郎もこの4月には古希を迎えるが、様子のよさも口跡の通りもまったく年齢を感じさせない。ジャパニーズ・ハイトーンの清元に合わせて踊るご両人。軽快な立ち回りや、しっとりとしたくどきもあって、粋な江戸情緒たっぷりだ。この日、仕事のキャンセルというアクシデントにあったが、災い転じて何とやら。春爛漫を予感させる楽しいひとときだった。
清元「神田祭」の名調子
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