E・フェルナンデス(G)のバッハ
週末金曜日。今週も中々に頑張ったぜ(ふう)! その甲斐あって年度末納期の案件も何とか目途がつき、無事乗り切れそうだ。よかったよかった。…というわけで渋茶を一服。気分転換も兼ねて、こんな盤を取り出した。

パラグアイ出身のギタリスト:エドゥアルド・フェルナンデス(1952-)によるバッハのリュート組曲全曲。2000年10月録音。手持ちの盤は十数年前、海外廉価盤レーベルのアルテ・ノヴァから出ていたもの。現在はソニーミュージックから継続発売されている様子。フェルナンデスは1952年生まれというから来年には古希を迎える大ベテランで、福田進一とのデュオ等で日本でもお馴染みのギタリスト。中々の学究肌と聞くが、もちろん演奏家としても第一級だ。
以前の記事にも書いたが、バッハのBWV995~1000それと1006aはリュートまたはそれに類する楽器(ラウテンヴエルク等)のためのものされ、特にギターやリュートの愛好家にとって馴染みのバッハ作品だ。もちろんそれらの作品の真偽をめぐって様々な研究や議論がなされてきたが、新バッハ全集でこの7曲がひとまず認知された。この盤にはそのうち古くからリュート組曲と称されてきた996、997、995、1006aの4曲が入っている。
演奏はどの曲も思いのほか素晴らしい。あるサイトでこの演奏のことを、ラテン調の方言が強く感心しないといった意味のことが書かれていたが、ぼくはそうは感じなかった。フェルナンデスは古典他様々なアレンジ等もこなすことからも分かるように、伝統的なクラシカルな音楽への様式感をしっかり持っていて、組曲を構成する各舞曲がそれぞれの性格をもって表現されている。しばしばテンポを揺らしたりフレーズの伸縮も見られるが、総じて音楽の流れが自然で品格も高い。 録音にはこの盤のジャケット写真に写っている19世紀ギターが使われたと思うが、CDで聴く音はモダンギターに近い音に聴こえる。低音は19世紀ギターによくある胴鳴りを伴なう特徴的な音を確認出来るが、高音はぼくが慣れ親しんでいる19世紀ギターとは異なり、やや緊張感のある音でサステインも長めだ。もちろん、そうした音と演奏そのものとのマッチングに何も違和感はないので問題はない。
先日あるギター弾きの知人と話した際、昨今のギター界はアクロバティックな早弾きや大音量、またそうした奏法を誇示する曲が多く、ギター本来の美しい音色やそれを有効に響かせる古くからのオリジナル曲に出会う機会が減ってきたという話になった。この盤で聴くフェルナンデスの弾きぶりは、そうした昨今の時流とは一線を画している。技巧の余裕をひけらかすことなく、音色もクリアで美しい。イェラン・セルシェルが11弦ギターで弾くバッハは、ギターという楽器を意識させない普遍的なバッハ演奏を聴かせてくれるが、このフェルナンデス盤は6弦ギターの持つ美しい音と共に、程よく「ギターらしさ」を感じさせてくれる演奏だ。
手持ちの盤からアップした。BWV100aのプレリュード
同 BWV995のプレリュード
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