バッハBWV1013



三月最後の日曜。先回の記事に書いた通り、パピーとグッドバイし、やや放心状態。夕方になって少し気分を変えようと楽器を取り出し、こんな楽譜を広げた。


202103_BWV1013.jpg


少し前からさらっている曲、バッハの無伴奏フルートのための組曲BWV1013の第1曲「アルマンド」。手元には大昔に買った新バッハ全集によるベーレンライター版(ハンス・ペーター・シュミッツ編)と、十数年前に出た佐々木忠編のギター版の楽譜がある。佐々木編もオリジナルと同じイ短調で、参考にしたのはハンス・ペーター・シュミッツ編とのことで実質同一。ギター版ではお約束通り、フレーズ頭の音が低音弦に移される等の変更が行われている。

ギター弾きにはお馴染みで見慣れたイ短調、耳に入ってくるフレーズもギターが得意とするアルペジオ音形、そんなことから初めてこの曲の楽譜を見たときは、ちょっとさらえば楽々弾けるだろうと思った。しかし実際に楽譜を広げて弾いみると、これが意外に手こずる。多くの器楽作品が作られたバッハのケーテン時代にこの曲も作られたようだが、少なくても第1曲「アルマンド」に関しては、弦楽器か鍵盤楽器のために書かれたのではないかと言われている。実際、この曲をフルートで吹く場合は、まず息継ぎをどこで取るかが大きな課題らしい。確かに楽譜を見る限り音符は隙間なく埋まっていて、フレーズの切れ目を見つけてブレスにするしかないようだ。ギターで弾く場合はもちろんブレスの問題はないので、もっぱら旋律と和声の展開を勘案してフレージングすることになる。先に記したように最初に聴いたときのイメージより実際に弾いてみるとややこしいのは、アルペジオ風に聴こえるフレーズが実際にはそう広くない音域の中で、和音の基音や構成音、旋律やフレーズをまたぐ倚音などが絶えず変化していることが要因のようだ。ギターは音域の広い跳躍は比較的弾きやすいが、狭い音域の中で絶えず動く音形は弾きにくい(…と、下手くそなぼくが感じるというだけのことだが)。

しかしこの曲の魅力は中々で、何とかギターで弾いてみたいと思い、ぼちぼちさらっているというわけだ。ほとんど単音によるスケールで構成されていることから、ギターの音色を生かし、フレーズの始まりと終わりを丁寧に、全体として組曲全体のプレリュードのように弾けたら最高だ。道は遠そうだが頑張って練習しよう!


ギターによるBWV1013アルマンド。以前も貼ったホルヘ・カバレロによる演奏。美しい音色を繰り出す楽器はメトロポリタン美術館所蔵の1940年製ハウザー1世。


アナ・ヴィドヴィッチが組曲全体を弾いている。録音状態がやや残念だ。


アーチリュートによるBWV1013



<参照楽譜>
オリジナルの調性にこだわらないなら、以下のホ短調版も面白い。
ホ短調に移したギター用編曲@IMSLP
https://imslp.simssa.ca/files/imglnks/usimg/2/24/IMSLP261220-PMLP13663-allemande_bwv1013_guitar_alink.pdf


ニ短調に移したヴァイオリン用@IMSLP
http://conquest.imslp.info/files/imglnks/usimg/1/1d/IMSLP390409-PMLP13663-d-moll_-_Violin_-_Violin.pdf


オリジナルのイ短調
https://imslp.eu/files/imglnks/euimg/5/58/IMSLP497729-PMLP13663-bachNBAVI,3partitaa-mollfuerflautotraversosoloBWV1013.pdf



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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