サックス・バトル



あれよあれよと日が過ぎて三月もまもなく終わり。そういえば…ふと気付いたら、今月はまだジャズの盤を記事にしていなかった。折から年度末業務も完了して気分も少々上向き。今夜はちょっと気合を入れてに鳴らそうかとアンプの灯を入れ、こんな盤を取り出した。


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アルトサックスのキャノンボール・アダレイをフューチャーした「キャノンボール・アダレイ・クインテット・イン・シカゴ」。メンバーはキャノンボール・アダレイ(as)、ジョン・コルトレーン(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コブ(ds)。1959年録音。この時期のステレオ録音によくある左右振り分け録音で、左チャンネルにキャノンボール・アダレイ、右チャンネルにコルトレーンとウィントン・ケリーのピアノが配置されている(一部の曲では異なる)。収録曲は以下の通り。

1.ライムハウス・ブルース
2.アラバマに星墜ちて
3.ワバッシュ
4.グランド・セントラル
5.ユーアー・ア・ウィーヴァー・オブ・ドリームス
6.ザ・スリーパー

まずこのジャケットが印象的だ。コミカルでもあり、ファンキーでもあり、ホッとするデザインでもある。かつての日本のジャズ喫茶のような、眉間にシワを寄せて腕組みをして聴き入るような深刻さはイメージしない。メンバーは当時のモダンジャズの最高峰、マイルスデイビスクァルテットのサイドメンにキャノンボール・アダレイが加わる。最高の布陣といっていいだろう。第1曲「ライムハウス・ブルース」に針を落とすと、途端に気分はノリノリのシカゴのジャズクラブに飛んでいく。

テーマをワンコーラス吹いたあと、すぐにバトルの開始だ。左チャンネルからキャノンボール・アダレイが、右チャンネルからジョン・コルトレーンが、それこそ飛び出さんばかりの勢いでサックスのブローを繰り出してくる。アダレイがアップテンポを更に煽るように高速スケールでアドリブラインを吹くと、コルトレーンは例のシーツ・オブ・サウンドそのものの緊張感に満ちた圧倒的な音数のフレーズでこれでもかと迫ってくる。このサックスバトルは最高の聴き物だ。バックを固めるウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンパース(b)、ジミー・コブ(ds)も万全で、正にジャズを聴く醍醐味ここに極まれりの感がある。2曲目の「アラバマに星落ちて」、3曲目の「ワバッシュ」と軽快なスウィングでリラックスしたセッションが続く。


「ライムハウス・ブルース」 双頭サックスのバトル!


「アラバマに星堕ちて」 キャノンボール・アダレイの美しいバラードプレイ。



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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