メータの「春の祭典」
先日の日曜日の晩、Eテレ「クラシック音楽館」でストラヴィンスキーを特集していた。今年は没後50年ということもあってか、このところストラヴィンスキーの名が目に付く。そんなこともあって、今夜は年に一度この時期に聴きたくなるこの盤を取り出した。


ストラヴィンスキー(1882-1971)のバレエ音楽「春の祭典」。春のどこか妖しく残酷かつ官能的な空気を感じる曲として一年に一度、ほとんどこの時期限定で聴きたくなる曲だ。ズビン・メータ(1936-)とロスアンジェルスフィルによる盤。メータが同オケのシェフとして全盛期を築いたのは1962年から1978年。この録音はその半ば1967年に録られていて、その後70年代を通じてこのコンビのシンボル的録音として人気を博した。この曲を得意にしたメータは、その後数回に渡ってこの曲を録音している。写真の盤は1978年にリヒャルト・シュトラウス「ツァラトストラはかく語りき」との2枚組で出た際に買い求めたもの。ジャケット裏表紙の写真。アメリカ楽壇のパトロンとして重要な役割を果たす社交界マダム達を熱狂させた、当時40代のメータのエキゾチックで精悍なマスクも懐かしい。
久々に針を降ろしたのだが、演奏・録音とも色あせることなく素晴らしい。そもそもこの曲を録音しようという団であれば、難曲とされるこの曲にも自信をもって臨んでいるだろうし、半世紀前とはいえアナログ録音技術の完成された時期の英デッカによるセッション、悪かろうはずもない。 冒頭、大地礼賛の序奏でファゴットがテーマを奏で、それに木管群が次第に絡んでいくあたり、各ソロ楽器の聴こえ方がホールでの実演に近い。ほどよい距離感と左右の広がりが見事に再現されている。主部に入ってからの切れ味のいい弦楽群や決め所で現れるグランカッサやティンパニなどの一撃もいいバランスで聴こえてくる。第二部は静かなラルゴの夜の音楽で始まる。フルートやヴァイオリンのソロで官能的なメロディーが現れ、次第に音楽は熱を帯びていく。トランペットの印象的なメロディーでいけにえの儀式が始まり、曲はクライマックスへ向かう。久々に聴いて、初演の際の騒動はさもありなんと思いつつ、21世紀の今聴くと整然とした古典になりつつあるなあとも感じた。
この盤の2年後1969年にメータがローマRAIのオケを振った演奏。
2013年にオーストラリア・ワールド・オーケストラに客演したときのライヴ。
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