ディーリアス管弦楽曲集
6月最初の週末日曜日。昼をはさんで野暮用少々でやむなく外出した他は引き続きステイホーム。午後3時を少し回ったところで一服しつつ、こんな盤を取り出した。

トーマス・ビーチャムがロイヤルフィルハーモニー管弦楽団を指揮したフレデリック・ディーリアス(1862-1934)の管弦楽曲集。手持ちの盤はセラフィムレーベルの輸入盤LP。確か70年代半ば、大学3年のとき手に入れた。ディーリアスの曲が一部のクラシックファンの間で、その穏やかな曲想から話題となり始めた頃だったと思う。
サー・トーマス・ビーチャム(1879-1961)は現在まで続く製薬会社の子息として生まれた。当時の裕福な家庭の常として、教養としての音楽教育を受けたが、それが高じてオペラ劇団やオーケストラを私費で設立するにいたった。特に手兵ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団を指揮した多くの録音は彼の名を広めた。中でもイギリス近代の作曲家ディーリアスの管弦楽曲を集めたレコードは今もスタンダードな名演されている。
この2枚のLPには「春初めてのカッコウの声を聴いて」、「ブリッグの定期市」、「楽園への道」といったディーリアスの代表的な管弦楽曲が収められている。いずれの曲も曲名からイメージできるような描写的な曲想が繰り広げされる。近代フランス印象派を連想するような部分や、フランス以外の近代ラテン系作品(スペインのファリャ、アルベニス、イタリアのレスピーギ等)、またイギリスの伝統的で穏やかかつ保守的な音使い、そういった要素が織り成す、ともかく気持ちのいい、それでいて表層的だけでない音楽だ。
「ブルックの定期市」では冒頭、ハンガリー田園幻想曲を思わせるペンタトニックのフルートの旋律が出てきて少々驚く。その後穏やかな曲想の変奏曲が続き、とりわけ管楽器のソロが彩りを添える。「春初めてのカッコウの声を聴いて」は、まさに春のまどろみの中で、ふと聴こえてきたカッコウの声に心躍るひとときと、少々気だるい春の空気感をよく表現している。
この盤の音源。「春初めてのカッコウの声を聞いて」
民謡をベースにした変奏曲「ブリッグの定期市」。穏やか曲想だが編成は大きく、コールアングレやバスクラリネット等も加わった三管編成。秋山和慶指揮する洗足学園のオケ。管楽器のソロもみな立派!
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