ハイフェッツのチャイコフスキー



7月最初の週末日曜日。朝から野暮用アレコレで気付けば昼過ぎ。外は梅雨空。何となく気分も晴れないなあと思いながら音盤棚を探索。オッと、こんな盤があったかと目にとまり、この盤を取り出した。


202107_Heifetz_PT.jpg


ヤッシャ・ハイフェッツ(1901-1987)の弾くチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調。フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団がバックをつける。1957年録音。手持ちの盤は70年代終わりから80年代半ばに出ていたシリーズで、メンデルスゾーンの協奏曲(こちらのバックはミュンシュ&ボストン響)がカップリングされている。

ハイフェッツというと、70年代から80年代にクラシックに血道を上げたぼくら世代にとっては、当時すでに「往年の」という枕詞がつく、いわば過去の巨匠だった。しかし1987年まで存命していたことを考えると、確かのその全盛期はずっと昔のことだったかもしれないが、古色蒼然とした存在でもないように感じる。

実際この演奏は評判通りのもので、19世紀的なロマンティシズムを引きずるような過去のものではない。軽快なテンポは終始崩れず、どんな難フレーズも鮮やかに弾き切る。副主題の提示もテンポをほとんど落とさない。そんな特性から「冷血な演奏」と言われることも多いようだが、こうして聴き直してみると、そうした他に類を見ない解釈できっぱりと弾き切っていて、聴き終えると思わず、スピーカーに向かって拍手を送りたくなる。

やや似た傾向とも言えるフリッツ・ライナーの指揮との相性もいいが、ここではそのライナーのテンポやアインザッツが遅れ気味に聴こえるほど、ハイフェッツの推進力が尋常ではない。第1楽章終盤のアチェルランドはこの曲を聴く醍醐味の一つだが、ハイフェッツの演奏は指揮棒を握るライナーが思わる振り返ってライナーを見やったのではないかと思える程の加速ぶり。第2楽章もお涙頂戴の詠嘆調とは無縁ですっきりと旋律線の骨格を提示する。第3楽章も終始ドライブ感あふれ申し分ない。幾多の腕利きヴァイオリニストが挑む名曲だけに、今でも次々を名演が登場していくるが、そんな現代にあっても俄然異彩を放つ名演だ。


この曲の音源。全3楽章


映画「カーネギーホール」での同コンビによる第1楽章。



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