F.ソル 幻想曲第7番作品30



週半ばの木曜日。このところ左手の調子が悪く、あまりギターに触れていない。今夜も様子見で楽器ケースは閉じたまま。せめて聴くだけでもと、こんな盤を取り出した。


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ロシア出身のギタリスト:イリーナ・クリコヴァのナクソス盤。十年近く前からいくつかのコンクールで優勝し話題になっている若手ギタリストで、ナクソスレーベルから3枚のアルバムが出ている。きょう取り上げる盤はそのうちの2枚目の盤で2010年11月の録音。収録曲は以下の通り。申しわけ程度の付いている「アルハンブラの思い出」に違和感を覚えるが、他はそれぞれに聴かせどころの多い楽しめるプログラムだ。

・J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV 1007
・フェルナンド・ソル:幻想曲第7番 Op. 30
・マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ:ギター・ソナタ ニ長調 Op. 77
・ホセ・マリア・ガジャルド・デル・レイ:カリフォルニア組曲
・フランシスコ・タレガ:アルハンブラ宮殿の思い出

きょうはこの中からフェルナンド・ソルの幻想曲第7番を聴いている。
ギター愛好家の多くがソルの最高傑作と評する名曲。序奏に続く変奏曲も、同時代の凡百の変奏曲とは一線を画す。各変奏が単なる技巧的なバリエーションに終わらず、多彩な和声に彩られ美しい。今更ながらクリコヴァの完璧な技巧を褒めたたえるのも野暮だろう。当然ながら余裕をもってこの曲を弾き進めるが、こうした和声の移ろいも十分感じ取っているのがよく分かる演奏だ。後半のアレグレットでの重要な付点音符の扱いもいいし、長い休符前後の間合いなども配慮が行き届いている。クリコヴァの愛器サイモン・マーティーはその大音量で知られるが、オーソドクスなシングルトップから繰り出される音はピュアで美しく。手持ちの音盤にはこの曲を弾いた名手の盤がいくつかあるが、その中でこのクリコヴァ盤はもっとも素晴らしい演奏の一つだ。


手持ちの盤からアップした。幻想曲第7番全曲。


楽譜付き音源。図らずもクリコヴァの演奏。


イザベラ・ゼルダ―。つい数日前にアップされたもの。



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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