レスピーギ交響詩「ローマの松」
先週の梅雨明け以降、猛暑続きの関東地方。今夜は暑気払い。こんな盤を取り出した。

レスピーギの交響詩」ローマの松」。ダニエレ・ガッティ指揮ローマ聖チェチリア国立音楽院管弦楽団の演奏。1996年録音。手持ちの盤はBMGクラシックライブラリーシリーズと称する輸入企画盤。十年近く前に閉店となった隣り町タワーレコードのワゴンセールで叩き売られていた。1961年生まれのガッティは1992年から1997年までローマ聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団の音楽監督を務めたとのこと。この録音はちょうどその頃、彼のキャリアの初期のもの。この盤にはお約束通り、この曲を含むローマ三部作が収められている。
「ローマの松」はローマ三部作の中でももっとも演奏機会が多いだろう。とかく最終曲アッピア街道のフィナーレばかりが注目されるが、もちろん第1曲から第3曲までもよく出来た近代管弦楽曲の名作だ。華やかでキラキラした輝きに満ちた第1曲「ボルゲーゼ荘の松」、神秘的な響きに古代へ思いを馳せる「カタコンブの松」、ロマンティックな夜の気配を漂わせる「ジャニコロの松」…久しぶりに聴いてみて、何とも清々とした気分になった。
ダニエレ・ガッティとローマ聖チェチリア国立音楽院管弦楽団の演奏は、終始透明感あふれる響きに満ちていて、この曲の持ついくつかの側面のうちフランス印象派からの影響をよく表している。そしてこのオケの弦楽セクションはよく歌う。カンタービレが身体に染み付いているのだろう。第3曲のジャニコロの松はとりわけ美しく、最後のナイチンゲールの鳴き声がごく小さな音量で消え入るように響くあたりは、ひんやりとした夜の気配に吸い込まれていくようだ。終曲アッピア街道の松も力で押すようなところがなく、最後までこの大規模な管弦楽の複雑なスコアを明確に提示するかのような演奏。 この曲にはトスカニーニ以来、数多くの名盤があるが、この盤はそれらの中になってやや異色の部類かもしれない。しかし本来この曲が持つ性格の描き出しという面では、多くの名盤に勝るとも劣らないだろう。ぼくはイタリアオペラはまったく聴かないので、ガッティのオペラ分野での活躍ぶりは不案内だが、一つの類型ではくくれないイタリア人指揮者達の一人として今後も活躍していくことだろう。
この盤の音源。「ローマの松」全曲
高関健指揮早稲田大学交響楽団。 早大オケは幾度となく海外公演を敢行しているが、これは1986年ヨーロッパ公演、BPOの本拠地フィルハーモニーでのライヴ。
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