カザルスのチェロ小品集



暑さ続きで夏本番。学校は夏休み。東京オリンピックスタート。色々なことが起こるが、前期高齢者の夏は変化もなく淡々と過ぎる。カレンダー通りに昨日まで仕事をし、きょうから四連休。夜更かしオッケーの連休前夜は夜型人間には何より嬉しい。さて、先回のベートーヴェンのチェロ曲で思い出し、音盤棚のチェロエリアを物色していると、この盤と目が合って取り出した。


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パブロ・カザルス(1876-1973)の弾く小品集。チェロ小品集の定番として、またカザルスの歌いまわしを楽しめる貴重な録音として昔から有名な盤。1929~30年録音。手持ちの盤はGRシリーズの復刻盤として70年代後半に出ていたときのもの。収録曲は以下の通り。お馴染みの曲が並ぶ。

<Side_1>
1.アダージョとアレグロ (ソナタ第6番 イ長調より)/ボッケリーニ
2.グラーヴェ・エド・エスプレッシーヴォ (協奏曲ニ長調より)/タルティーニ
3.わが母の教え給いし歌/ドヴォルザーク
4.熊ん蜂の飛行/リムスキー・コルサコフ
5.アリア (管弦楽組曲第3番 ニ長調より)/J.S.バッハ
6.テンポ・ディ・メヌエット (ソナタ 第1番 ハ長調から)/ハイドン
7.トロイメライ (子供の情景より)/シューマン
<Side_2>
8.魔笛の主題による7つの変奏曲/ベートーヴェン
9.アンダンテ (無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番より)/J.S.バッハ
10.無言歌 ニ長調 作品109/メンデルスゾーン
11.ラルゴ(協奏曲 第11番 ニ短調より)/ヴィヴァルディ
12.ガヴォット/ヴァレンティーニ
13.トナディーリャ/デ・ラセルナ
14.メヌエット ト長調/ベートーヴェン

弦楽器といわずピアノといわず、名手の弾く小品集は大きな協奏曲とがっぷり四つに組んだ演奏とは次元の違う楽しみがある。名手であれば、もちろんどんな小品であろうと曲の隅々に至るまで意を尽くし、その曲の魅力を表現しようと努めるだろう。同時にそうした「全身全霊」とは別の切り口で、その演奏家の素顔を感じる取ることが出来るのも、こうした小品集の楽しみの一つだ。この盤もそんな楽しみを与えてくれる一枚だ。

録音当時、カザルスは五十代半ば。百歳近くまで生きたカザルスにとっては、まだまだ壮年期で現役バリバリの頃だ。同時に若い頃から積んだ経験が熟し、より広く深く音楽に接していたに違いない。この盤のどの曲からもそんな気配が感じられる。
先程からメンデルスゾーンの無言歌作品109を繰り返し聴いている。数年前にチェロ相方と合わせた懐かしい曲。夜想曲風のニ長調の穏やかな主題で始まり、途中ニ短調に転じた中間部でややテンポを上げ、そしてまたニ長調に戻る4分半ほどのサロン風の小品だが、いかにもメンデルスゾーンらしい品のよいロマンティシズムに満ちている。この短いながらも起伏に富んだ小品をカザルスは意外とあっさり、一筆書きのように弾き切っている。


この盤の音源。メンデルスゾーンの無言歌作品109


数年前に知人のチェロとぼくのギターとで合わせたときの抜粋音源。


この盤の音源。ボッケリーニ:アダージョとアレグロ (ソナタ第6番イ長調より)



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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