ケンペのブラームス第2
今夜は、先回のブラームス:ハイドン・バリエーションで音盤棚を見回していた際に目が合ったこの盤を取り出した。


ブラームスの交響曲第2番ニ長調。ルドルフ・ケンペ指揮ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団によって1974~75年にブラームスの交響曲全集として録音された内の一枚。手元には当時出たLP盤で4曲が揃っている。80年代初頭に今はなき数寄屋橋ハンターで買い求めた記憶がある。このケンペ&ミュンヘンフィルの盤は短期間にレーベルがあれこれ変ったため、手持ちの4枚にはBASF・ACANTA・LIBEROの3種類が混在している。きょう聴いている2番はLIBEROレーベル。いずれも日本での発売はテイチクだった。
派手さとは無縁で堅実な職人指揮者というイメージがあったケンペ(1910-1976)だが、50年代からベルリンフィルを振ったり(ブラームスの交響曲全曲他)、ドレスデンのオケとリヒャルト・シュトラウスの管弦楽曲を録音したりと、日本での人気が高まる前から欧州では一流の評価がなされていたのだろう。日本ではこのブラームスやブルックナーで70年代半ばに大いに人気を得た。ミュンヘンフィルとのブラームス録音は彼の晩年の録音ではあるが、指揮者としては夭折だった彼のキャリアからすれば、まさに充実した壮年期の演奏記録と言える。
中でも第2番はリリース当時も話題になった。演奏はまったくもって誠実で生真面目。妙な演出や仕掛けはない。以前の記憶ではもっとテンポが速かったように思ったていたが、きょう聴いてみると速いとまではいかないレベル。曲全体をすっきりと組み立て、その上で各パートの出入りや重なり合いを実によくコントロールしている。その結果、マスの響きで押すような演奏の対極で、響きの分解能が高く、音楽の構図がよくわかる演奏に仕上がっている。録音状態もアナログ最終期の良好なもの。ピュアな響きの重なり合いがよく分かり、重苦しさとは無縁ながら重量感も迫力も不足はない。総じて正統派ドイツのブラームスを堪能できる名盤だ。
この盤の音源。フレーズの切り替えで微妙にテンポを動かしている。自身がオーボエ奏者であったことも影響しているのか、木管群が鮮やかに浮き立ち、弦楽群とよく対比される。 万事中庸で地味な指揮者というレッテルが貼られたことさえあるケンペ。どこが!?と真意を疑うのはぼくだけではないだろう。もっとも今ではそんな評価をする人はいないだろうが。
貴重な指揮姿。バンベルク交響楽団との第2番第1楽章の佳境。
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