R・シュトラウス「英雄の生涯」
週末金曜日。世間はお盆休みの中、暦通りに仕事。帰宅後ひと息ついて、いささか夏バテの老体に鞭打つべく音盤で暑気払い。ひんやり癒しの曲を敢えて避け、熱気とパワーで乗り切ろうと、こんな盤を取り出した。

リヒャルト・シュトラウスの交響詩「英雄の生涯。ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団による1960年の録音。手持ちの盤は70年代半ばに廉価盤で出たときのもの。ぼくら世代には懐かしいジャケット写真。この頃CBSソニーからは、セル、オーマンディーをはじめ、お抱えアーティストの廉価盤が幾度となくリリースされていた。この盤は記憶が正しければ当時、廉価盤で手に入る唯一の「英雄の生涯」だったという、実にわかりやすい理由で選んだ。
オーマンディーはこの曲を得意にしていたようで、SP時代、モノラル時代、そしてステレオ期2回の計4回録音している。絢爛たる管弦楽、堂々たる厚みのあるサウンド、起伏に富んだ構成、ときにこぼれ落ちんばかりのロマンティシズム。いずれもオーケストラ芸術の極みが堪能できる曲で、オーマンディーが半世紀に渡って共に歩み育ててきたフィラデルフィア管に相応しい曲だ。録音も優秀で、低弦群やオルガンの音もレベルは控え目ながらローエンドまでしっかり聴こえてくる。
このLPでは第3部までがA面に、第4部からフィナーレがB面に入っている。とりわけB面になってからの第4部以降はスリリングな展開と同時に、濃厚なロマンティシズムが交錯。さらにR・シュトラウスの他の曲からの引用がちりばめられ飽きさせない。フィナーレは特に印象的で、イングリッシュホルンに導かれ「ドン・キホーテ」のモチーフの引用で始まり、さしもの英雄も達観して人生の最後を迎えるかのような美しく調和した響きが続く。
この盤の音源。
ディーマ・スロボデニューク指揮ガリシア交響楽団。
英雄もいつかは去るの図…
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