ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番ハ長調
新春丑年の音盤事始め。令和四年に合わせて4番シリーズで行こうかと、こんな盤を取り出した。

ポリーニの弾くベートーヴェンのピアノ協奏曲全集。80年代前半に出た最初の全集(のちに90年代に入ってアバド&ベルリンフィルと再録)。随分前に中古レコード店で叩き売られていたもの。ベーム指揮で全曲録音予定だったが、ベームの死去に伴い1番と2番はヨッフムが引き継いだ。オケはすべてウィーンフィル。今夜はこの中から第4番ハ長調をターンテーブルにセットした。1977年アナログ期最後の録音。当時ポリーニは30代後半のもっとも華やかに活躍していた時期にあたる。
5曲あるベートーヴェンのピアノ協奏曲のうちどれを選ぶかといわれれば、知名度で勝る第5番「皇帝」を横において迷わず3番と4番と答えるだろう。中でも4番はその革新性において特別な存在だ。第1楽章はしっかりした構成ながら力ずくの強引なところがまったくなく、楽章全体を静けさが支配している。この曲を最もよく特徴付ける第2楽章は、弦楽ユニゾンとピアノソロが対照的なそれぞれのフレーズを進めつつ、同時に不思議な統一感を感じさせ瞑想的な音楽を繰り広げる。第3楽章のロンドは一転、軽快かつチャーミング。協奏曲の最終楽章にしばしば置かれるロンド形式だが、ピアノ協奏曲にこそ相応しいと感じる。鍵盤から次々に放たれる音の粒が空間に飛び散るようで、くるくる回るロンドのイメージそのものだ。ポリーニのピアノはクリアな音色と明快なタッチで曖昧なところがなく、第4番のひんやりとした温度感の曲想にもピタリ。最晩年のベームとウィーンフィルのコンビもやや古風な造詣ながら柔らかな音色で文句なしだ。
この盤の音源で第1楽章。
2004年@ルツェルン。アバドとの第4番第1楽章のさわり。
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