シベリウス組曲「カレリア」



二月最初の週末日曜日。あれこれ野暮用で日が暮れる。夕方近くなってようやく一服。久しぶりにこんな盤を取り出した。


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シベリウスの組曲「カレリア」。コリン・デイヴィス( 1927-2013)指揮ボストン交響楽団による演奏。組曲「カレリア」の他、同じシベリウスの「ポヒュラの娘」「悲しいワルツ」「伝説」が収録されている。1979年から80年にかけての録音。組曲「カレリア」は元々は野外劇のための作られたが、シベリウス本人がその後改編し、現在はカレリア序曲と3つの曲からなる組曲「カレリア」として残っている。

第1曲「間奏曲」の出だし、まるでブルックナー開始のようなざわざわとした弦のトレモロで始まるが、付点音符の明るいフレーズがホルンで提示されるすぐに、これはブルックナーではないなあと分かる。ほどなく打楽器も伴ったリズミックな主部に入る。音楽は明るく大らかだが、決してドンチャン騒ぎではなく、どこかほのぼのとした風情を残し、最後にホルンのフレーズが回顧されて曲を閉じる。
第2曲「バラード」はこの曲の中心といってよい。木管楽器によって哀愁に満ちた主題が提示され、やがて弦楽群に引き継がれて切々と歌われる。シベリウスが書いた最も美しい旋律の一つだろう。最後はコールアングレが美しいソロを取る。第3曲<行進曲風に>では再び音楽は活気を取り戻し、リズミックな曲想と親しみやすいフレーズが続く。

コリン・デイヴィスはボストン交響楽団とシベリウスの交響曲全曲や管弦楽曲を録音し、後年ロンドン交響楽団とも再録もしている。シベリウスを得意にした指揮者の一人だ。ハイレベルなボストン響をとらえたフィリップスの好録音も素晴しい。

シベリスは20世紀半ばまで存命した作曲家。交響曲などではやや難解な作風も示すが、当然19世紀的なロマンティックで抒情的な側面も強く、ポピュラリティーや民族色の強い、しかし品格のある美しい曲も多く残した。この組曲などその典型だろう。


この盤の音源。第1曲「間奏曲」


同 第2曲「バラード」


ピアノ独奏版による全曲



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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