ジョン・デュアルテ作品集
先回に続けてギターを聴く。取り出したのはこの盤。

ギリシャ生まれのアンティゴーニ・ゴーニ(1969-)が弾く、ジョン・デュアルテ(1919-2004)のギター作品集。ナクソスレーベル2000年録音。収録曲は以下の通り。
ピエモンテ組曲 Op.46
みなロンドで Op.57
音楽の肖像 Op.107
イギリス組曲 Op.31
カタルーニャ民謡による変奏曲 Op.25
鳥 Op.66
アントニオ・ラウロへのオマージュ(3つのワルツ)
ソナティネッテ Op.35
デュアルテの名はセゴビアがこの盤にも入っている「イギリス組曲」の録音を残していることから、ぼくら世代にはお馴染みの存在だ。デュアルテは1930年代にジャズギターで彼の音楽家としてのキャリアをスタートさせた。そのため、いずれの曲もクラシカルな体裁の中にもモダンでジャジーな和声が折り込まれ、クラシック音楽あるいはクラシックギターに馴染みのない人にも親しみやすい。イギリスの古い民謡集の編曲なども出していて、この盤に収録されている曲もそうしたフォークロアの味わいが色濃い。同時にギターの楽器としての特性もよく研究され、ギターの広い音域がうまく使われていて、よく響く。
有名な「イギリス組曲」は学生時代の終わり頃に楽譜を手に入れてポロポロと弾いたものだ。今でもときどき引っ張り出す。ペンタトニックを織り交ぜた日本人が親近感を持つ英国風なメロディー、ジャズ畑の人らしいモダンな和声が美しい。技術的にも歯が立たないというほどでもない。中上級者に好適な一曲というところだろうか。
かつてクラシックギターは、ピアノやヴァイオリンなど他の楽器では考えられないような基本的な技巧面でキズがある演奏も多かった。プロの演奏でもミスタッチやあやふやな音程、不自然なフレージングなどあたり前だった。しかし近年はそうした基本的なことでの心配なしに演奏を楽しめるようになった。もちろんゴーニの演奏からそうした不安や不自然さは一切感じられない。安心して音楽に浸れる。右手のタッチも明快かつ切れ味があり、ホセ・ロマニリョス作の名器(ロマニリョスはつい先日亡くなった)から紡ぎ出される音色も素晴らしく美しい。ゴーニは同じくナクソスからバリオス作品集やリサイタル盤も出している。いずれも現代的でシャープな演奏ながら音楽はゆったり流れ、フレージングも自然で過不足ない。
この盤の音源。ピエモンテ組曲の第1曲_Pastrale
同 「アントニオ・ラウロへのオマージュ」の第2曲_Andante espressivo
最近の演奏。タレガの小品に続いてデュアルテのジョーンバエズ組曲から数曲を弾いている。
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