フルトヴェングラー の「英雄」ブライトクランク盤



このところ関東地方には定期的に南岸低気圧が接近。時折り降雪を伴ないながら通り抜けていく。二月も下旬の週末日曜日。先回のベートーヴェンでも思い出し、こんな盤を取り出した。


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フルトヴェングラー&ウィーンフィルによる1952年ウィーン・ムジークフェラインでの録音。手持ちの盤は90年代初頭にリリースされたブライトクランク盤。

1954年に亡くなったフルトヴェングラーにとっては晩年といっていい50年代に入ってからの演奏は、40年代壮年期の演奏と比べてイマイチとの評価もある。確かにこの「英雄」も40年代のウィーンフィルとの通称ウラニア盤のようなエモーショナルな表現、聴く者の心に何かを突き刺してくるような表現は影をひそめている。すなわち、テンポ設定は遅く、すべての音の彫りが深くなり、アクセントやスフォルツァンドは鈍いアインザッツで深さを求める。オケの音は8割ほどの力の入れ具合で、常に余裕をもって響く。

そうしたフルトヴェングラー晩年のモノラル録音が独エレクトーラ社が開発したブライトクランク・ステレオによって見事に蘇る。弦楽群、とりわけチェロ・コンバスの深く重い響き、余裕をもったホルンの伸びやかな音、いずれもモノラル録音では味わえない音の広がりがある。擬似ステレオという、いかにもな名称からイメージする作り物的な不自然さはほとんど感じない。オリジナル至上主義も立派な見識だが、音の貧弱さを特別なこだわりを施したモノラル再生装置や、ましてや精神論で補うのも限界がある。昨今のデジタル技術を駆使すれば、十分納得のいく電気的ステレオ化も可能だと思うが、どうだろう。


この盤の音源。第1楽章。手持ちの盤からアップ。


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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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