ドヴォルザーク交響曲第1番ハ短調
令和四年弥生三月。思いのほか寒かった冬が終わり、ようやく春到来。年度末締め切り業務に追われながら何とか日々安泰。きょうもいつもの時刻に帰宅した。これといって趣向のない音盤タイム。今夜はこんな盤を取り出した。

「ズロニツェの鐘」というタイトルを持つドヴォルザークの交響曲第1番ハ短調。1841年生まれのドヴォルザークが24歳だった1865年に作られた。全4楽章50分近くを要する大曲だ。手持の盤はもう十数年前に手に入れた激安ボックスの雄、ブリリアントレーベルのドヴォルザーク交響曲全集中の一枚。演奏はズデニェック・コシュラー指揮スロヴァキアフィル。70年代半ばの録音。
ドヴォルザークの交響曲といえばまずは第9番そして8番。次に渋いブラームス風の7番が続き、6番あたりまでが比較的ポピュラーだ。しかしそれ以前の番号となると中々聴けない。そんなこともあって、この激安ボックスを手に入れた記憶がある。
若い頃のドヴォルザーク、すなわち後年出会って影響を受けるブラームスとはまだ会っていない頃、彼はかなりのワグネリアンだったようだ。その影響をこの曲に感じるかどうかと言われると、そうとまでは言えない。第1楽章の出だし、曲の第一印象を決めるといってもいい序奏は中々意味深長に始まるが、もひとつその後の展開に期待を抱かせる進行には至らない。また主部に入ってからも少々いろいろなことをやろうとしてアレコレ詰め込み過ぎ、いささか消化不良の感も否めない。第2楽章のアダージョはそれほどキャッチーなメロディではないが、随所に美しいフレーズが出てきて飽きさせない。第3楽章アレグレットは実質的にはスケルツォだが、後年のスラヴ風躍動感には至らず全体としてはやはりドイツ的な響きが勝る。終楽章は13分を要するロンド。ハ長調を基調にしながらも能天気なドンチャン騒ぎとは無縁で、立派な音楽に仕上がっている。こうして聴いてみると、総じて若きドヴォルザークの気負いが先行している感があるが、以降の傑作を生みだす前の習作としてみると、後年の作品の萌芽があちこちにみられる興味深い作品だ。
手持ちの盤からアップ。第1楽章
ドヴォルザークの生涯と作品@厳選クラシックちゃんねる
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■

にほんブログ村
- 関連記事