ワルターのブラームス第2@1953
週末土曜日。朝から野暮用外出で午後三時過ぎに帰宅。町内自治会の用件少々こなして一服。先日来のブラームス第2の流れで、こんな盤を取り出した。

ブルーノ・ワルター指揮ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団によるブラームス交響曲第2番ニ長調。手持ちの盤は70年代初頭、ワルターの一連のモノラル録音が廉価盤でリリースされたときのもの。同じくブラームスの大学祝典序曲とハンガリー舞曲数曲とが収められている。
ワルター(1876-1962)はフルトヴェングラーやトスカニーニと並び、戦前から戦後にかけての20世紀前半におけるビッグネームの一人だ。しかも他の二人より僅かながら長生きしたことで、晩年に良質なステレオ録音を相当数残すことができた。住まいを西海岸に移し、ワルターとのセッション録音のためといっても過言でないコロンビア交響楽団を得て、モーツァルト、ベートーヴェンからブラームス、さらにブルックナーやマーラーまで短期間に多くのセッション録音を行なった。そのいずれもが晩年のワルターの芸風を伝える名演として今日も聴き継がれている。
その一方で、戦前から戦後に至る時期の録音は時代も反映して、ワルターの全盛期の様子を伝えるものはごく限られるようだ。そんな中、戦後から50年代初頭までニューヨークフィルを中心に残されたモノラル録音は、往時のワルターの指揮ぶりを伝える演奏として昔から評価が高かった。このブラームスもそんな時代の一枚で、晩年のステレオ録音とは一線を画す、白熱のブラームスを聴くことができる。
ワルターが残したステレオ録音のブラームスはいずれ陽性でよく歌い、大らかな表現でその人柄をも忍ばせる。そのイメージで1953年モノラル録音のこのブラームスを聴くと驚きの連続だ。よく歌うワルターの本質は変わらないものの、その歌いっぷりはより積極的で活力に満ちている。テンポ設定も速めで、しかも要所要所での加速減速もよりメリハリがあって聴く側を鼓舞する。ニューヨークフィルも熱演で応え、特に第1楽章でのびのびとした音色で素晴らしいソロを聴かせるホルンは逸品だ。第2楽章の弦楽セクションも量感あふれるチェロ、ヴィオラセクションが素晴らしい。そして圧巻は第4楽章。出だしこそやや速めかといった程度で始まるが、曲の進行と共に温度感がたかまり、最後の大団円ではディープインパクを想わせる圧倒的な追い込みで、聴く者を興奮の絶頂へと導く。
この盤の音源。第4楽章のコーダ。
同 全4楽章
第2番のリハーサル風景
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