ムローヴァ バッハ無伴奏ヴァイオリンパルティータ



新年度もスタートし、世のフレッシャーズと気持ちだけは並び、本日もせっせと業務に精励しつつ、程々のところで切り上げて帰宅した。週半ばの木曜日。さて今夜はバッハ。こんな盤を取り出した。


202204_Mullova_Bach.jpg


ヴィクトリア・ムローヴァ(1959-)の弾くバッハの無伴奏パルティータ3曲を収めた盤。1992年から93年にかけて録音。ムローヴァはこの録音ののち、ガーディナーやアーノンクールら古楽領域の演奏家と交流を通じて次第にモダンスタイルから離れピリオドスタイルのバッハを演奏するようになった。そして2007年にいたってバッハ無伴奏作品の全曲を1750年製のガダニーニとバロック弓を使って録音することになる。手元のこの盤フィリップス盤はそうしたスタイルに移行する前の、モダンスタイルの彼女のバッハ演奏ということになる。

そうはいってもこうして聴くと随所にその後のピリオドスタイルへの萌芽を感じさせる。ヴィブラートは控え目で、フレーズの終わりのロングトーンなどはほとんどノンヴィブラートでスーッと音を伸ばしてフレーズを閉じている。弓への圧力も控えめなのか、音を太くたくましく鳴らすようなところがなく、極めて美しい音がややゆっくりめのテンポでよどみなく繰り出される。その結果、正確な音程と共に清涼感あふれる音楽が続く。眉間にしわを寄せて深遠なバッハにひたるバッハ演奏ではない。清涼感だけのBGMかといえば、もちろんそうではない。ムローヴァの組み立てる音楽の骨格や個々のフレーズやアーティキュレーションの扱いが明確で聴く側にしっかり伝わってくる。そのために決して薄味の印象にはならないのだ。こうしてあらためてムローヴァの優れたバッハ演奏に接すると、この録音から十数年を経て2007~08年に再録された録音と比較も興味のあるところだ。


この盤の音源。パルティータ第2番ニ短調 アルマンド


同 パルティータ第3番ホ長調 前奏曲


1999年のライヴ演奏。シャコンヌ



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